メール自動消去でSAC命拾いか、インサイダー捜査当局の誤算

ヘッジファンド会社、SACキャピ タル・アドバイザーズや創業者のスティーブン・コーエン氏のインサイ ダー取引疑惑をめぐり、連邦当局の捜査がある壁にぶつかっている。決 め手になり得る電子メールが手に入らないのだ。というのも、疑惑の焦 点である2008年7月、SACでは電子メールが自動的に消去されていた からだ。

米政府にとって不運なことに、SACがこの自動消去のポリシーを 変更しメール類の保存を義務化したのはその数カ月後だった。違法性が 疑われている7億ドル(約650億円)の取引に関連したやりとりの大半 は、既に消えていた。事情に詳しい関係者が明らかにした。

SACの法務顧問、ピーター・ナスボーム氏によれば、同社では08 年秋まで、従業員の電子メールは30日か60日ごとにメールボックスから 自動消去されていた。2年前の民事訴訟での同氏の宣誓証言記録をブル ームバーグが検証した結果、この事実が明らかになった。

米当局は昨年11月に、SACの元ポートフォリオマネジャー、マシ ュー・マートマ被告をインサイダー取引の罪で訴追した。同被告は無罪 を主張しており、SACに関するその後の捜査にも協力していない。コ ーエン氏は訴追されていない。

インサイダー取引の証拠として検察が提出したマートマ被告や関係 者からの電子メール、もしくはインスタントメッセージはほんの断片で しかない。対照的に、インサイダー取引で有罪になり禁錮刑に処された ラジ・ラジャラトナム受刑囚(ガリオン・グループ共同創業者)の裁判 では、詳細な電子メールや電話の録音データが証拠として使われてい た。

事情に詳しい関係者2人によれば、連邦当局はSACの電子メール 保存ポリシーの欠如を問題とされる取引の詳細を隠すためだったとは考 えていない。ポリシーは政府が調査や捜査を開始する前からのものだっ た。

原題:SAC Probe Said to Be Hampered by 2008 Auto-Delete E-Mail Policy(抜粋)

--取材協力:Katherine Burton、Saijel Kishan、Patricia Hurtado.

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