円が上昇幅拡大、G20控え円安けん制を警戒-対ドル92円後半

東京外国為替市場では、円が上昇。 モスクワで今週末開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁 会議を控えて、各国当局者による過度な円安の進行をけん制する発言が 警戒されやすく、円買い圧力がかかった。

ドル・円相場は朝方に1ドル=93円51銭を付けた後、円がじり高に 展開。午後に入って、一時92円83銭と、2営業日ぶりの円高値を付け た。午後3時22分現在は93円15銭付近で取引されている。前日の海外市 場では、主要7カ国(G7)声明の解釈をめぐり、円が上下に振れる展 開となった。

マスミューチュアル生命保険運用戦略部の吉田洋史シニアポートフ ォリオマネージャーは、根っこではドル・円相場が下がったらドルを買 いたいと言うムードは変わっていないと指摘。しかし、週末にG20を控 えて、要人発言を受けた相場の上下動が激しく、「リスクが大きい」と いうことで、ドル買い・円売り持ち高を解消する動きが出ていると説明 している。

ユーロ・円相場は朝方に付けた1ユーロ=125円83銭から、午後に は一時124円78銭と、2営業日ぶりの水準まで円高が進行。午後3時22 分現在は125円23銭付近で推移している。

G7声明

G7は12日、ロンドンで声明を出し、「われわれの財政・金融政策 が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられ てきていること、今後もそうしていくこと、そしてわれわれは為替レー トを目標にはしないことを再確認する」と表明した。

市場ではこれを受けて、安倍晋三政権が積極的に円の押し下げを図 らない限り、円安が容認されたと受け止められ、円売りが進行。麻生太 郎財務相は財務省内で記者団に対し、日本のデフレ不況対策が為替操作 に使われていないと「各国から正式に、正しく認識された」との見方を 示した。

しかし、匿名のG7構成国の当局者が、声明は円の行き過ぎた動き への懸念を示唆したものだとの見解を示したことで、円が急反発する展 開となった。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、G7声明の 解釈が麻生財務相とG7高官の間で食い違ったということでマーケット が振らされたと説明。その上で、今週のG20会合では今回の声明以上に 強い内容は見込みにくいとしながらも、「日本の金融政策に対する批判 が出ることは当然で、ある程度警戒しているところだと思う」としてい る。

G20会合は今週の15、16日にモスクワで開かれる。カナダ銀行(中 央銀行)のカーニー総裁は12日、カナダ議会で、日本が2%のインフレ 目標を設定したことで円相場に影響が及ぶことに「一定の懸念」がある とも指摘。今回のG20では日本の政策について協議するだろうと述べた 上で、日本が財政出動の拡大やインフレ目標の引き上げを決定したこと は「重大、かつ前向きな展開だ」と付け加えた。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、「日本がこれまでと ってきた政策とそれによる円安が国際的に許容されるかどうか」が焦点 となっており、目先は各国の要人発言に振らされやすい展開が続くと予 想。G7声明などは「どちらかというと国内景気やデフレ退治という政 策は容認していこうというトーンが強い印象」で、ドル・円の上向き基 調は変わらないとしながらも、新興国などのスタンスが異なる可能性も あるため、G20に向けては「どちらが強く出るかという不透明感がド ル・円の上値を抑える」とみている。

ミスター円の異名を持つ榊原英資元財務官は13日のインタビュー で、円安誘導は「いわゆる近隣窮乏化策で、国際的なルールに反する」 との見解を示した。日本の有力政治家が口先介入で円相場の下落を促す ことは、他国から円安誘導と解釈される恐れがあると警鐘を鳴らした。

--取材協力:. Editors: 崎浜秀磨, 青木 勝

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