G7声明の解釈で為替市場が混乱-円安めぐり各国が矛盾発言

為替相場の沈静化を図った主要7カ 国(G7)当局者は、円安による経済への脅威の程度に関するちぐはぐ な発言で市場をかえって混乱させる結果を招いた。

G7声明は当初、最近の円安を共同で容認すること示唆したと受け 止められ、円が売られた。しかし、各国はG7の立場について相反する 解釈を示した。英国はG7は特定の国や為替相場をやり玉に挙げていな いと説明したのに対して、G7当局者の1人は、円の過度の動きに懸念 があると述べた。

こうした混乱を背景に、モスクワで今週末開かれる20カ国・地域 (G20)財務相・中央銀行総裁会議では、国際的な通貨戦争や日本の金 融緩和推進姿勢が引き続き焦点になりそうだ。また、日銀が次期総裁ら の下で検討する追加金融緩和策が制約を受ける可能性があると、バーク レイズ証券は予想している。

英銀スタンダードチャータード(ニューヨーク)のシニア通貨スト ラテジスト、マイク・モラン氏は「世界は先進国首脳からの明確で、一 貫したメッセージを望んでいる。当面G20が最も重要だろう。責任が日 本にあるのは明らかだ」と述べた。

G7は欧州の朝方の取引時間帯に、2011年9月以来となる為替に関 する声明を発表し、財政・金融政策は国内目的を達成することに向け、 為替相場を目標にしないと表明した。

この声明について市場は、一段の金融緩和を通じた経済再生への安 倍政権の取り組みの副産物である限り、G7は円安を受け入れると解 釈、円は対ドルで売られた。

異論

麻生太郎財務相もG7声明の発表後に、日本のデフレ不況対策が為 替操作に使われていないと「各国から正式に、正しく認識された」との 見方を示した。

こうした解釈に異論を唱えた形となったのは、1人のG7当局者の 発言。同当局者は投資家が声明を読み違えており、G7は過度の円の動 きと円相場を誘導する日本の行為を懸念していると説明。この発言を受 けて円が大幅反発した。

しかし、その後今年のG7議長国として声明をめぐる協議に参加し た英国の当局者1人が、声明は特定の国や通貨を指していないと述べた ことから、円は再び売られた。

1980年代にドル相場の管理を目指したプラザ合意やルーブル合意で 為替市場を支配した主要国は、円安を受けて再び為替に注目している。 先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関加重通貨指数による と、円は過去3カ月間に18%下落、2010年以来の安値となっている。

世界の経済成長は依然ぜい弱なため、1930年代のような通貨切り下 げ競争への懸念が高まっている。カナダやドイツなどの金融当局者は、 デフレ脱却に向けた安倍政権の政策において円相場がどの程度重要なの か、その結果自国の輸出企業が打撃を受けるかどうかを問題にしてい る。

ゼロサムゲーム

TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、リチャード・ギルフ ーリー氏は、「今はG20の実際の結果に注目すべきだ。通貨切り下げは ゼロサムゲーム的な特徴があり、日本の新たな成長は通貨高の国の犠牲 で成り立つ」と述べた。

一方、ブレイナード米財務次官(国際問題担当)は11日、「経済成 長の回復」に向けた日本の取り組みを歓迎した。この発言は、米国が日 本を支持していることを示唆している。ルー次期財務長官は13日の上院 財政委員会での指名承認公聴会で、米国の立場を補足説明するよう求め られる可能性がある。

バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジストと丹治倫敦・ 債券ストラテジストは13日付の顧客向け文書で、「日銀が外債購入を行 えないことは当然としても、露骨に為替誘導に資するような形での金融 緩和は行いにくくなる可能性はある」と分析している。

原題:G-7 Roils Currency Markets With Split on Concern Over Yen (1)(抜粋)

--取材協力:藤岡 徹、乙馬真由美、Paul Dobson、Emma Charlton、Lucy Meakin、Jana Randow、Giles Broom、Thomas Mulier.