ウォール街の金融機関、新興市場でシェア低下-地元勢が台頭

欧米の大手投資銀行が新興国市場で 苦戦している。自国の規制措置や経費削減が足かせとなっているほか、 地元勢の攻勢に遭って市場シェアを奪われている。

ニューヨークのコンサルティング会社フリーマンの集計データによ ると、一部新興市場で最もシェア低下が目立っているのは、クレディ・ スイス・グループ、モルガン・スタンレー、シティグループなど。それ らの市場シェアは、ブラジルのグルーポBTGパクチュアルやロシアの VTBキャピタル、中国の中信証券(CITIC証券)などによって圧 迫されているという。

フリーマンによれば、中南米と中東、中国、インド、ロシア、東欧 での欧米投資銀行の手数料シェアは2005年の69%から昨年は43%に落ち 込んだ。それと同時に、欧州の銀行は新興市場で融資が減り、業務獲得 競争で一段と厳しい状況に置かれている。

HSBCホールディングスの中東・北アフリカのグローバルバンキ ング担当地域共同責任者、ポール・スケルトン氏(ドバイ在勤)は、地 元投資銀行の台頭と軌を一にして、「一部の外国投資銀行はこれら地域 を見直し、意味があるかどうかを自問している」と指摘した。

ロンドンやチューリヒ、ニューヨークに本拠を置く銀行にとって、 収入の伸び悩みや人員削減、報酬削減圧力などが重しとなっている。フ リーマンのデータによると、欧米の投資銀行は新興市場での手数料シェ アが07年までの10年間は59%を割り込んだことはなかったが、過去3年 間は毎年44%を下回っている。

地元勢

新興国の地元勢は株式公開して事業拡大資金を調達、大手金融機関 からバンカーを採用しているほか、地の利を生かして政府や地元企業と のつながりを活用している。

サンパウロのイタウ・ウニバンコ・ホールディングの投資銀行ビジ ネスを手掛けるバンコ・イタウBBAはクレディ・スイスやUBSのバ ンカーを採用。同部門の最高経営責任者(CEO)によると、メキシコ 進出を検討している。

ロシアの銀行2位VTBグループの証券部門、VTBキャピタルは 昨年、バンカーを100人採用し、ニューヨークと東欧、アジアでの事業 を拡大している。

地元勢の積極策に対して、オランダ最大の銀行INGグループはロ シアの株式部門を閉鎖。イタリアのウニクレディトもロシアの証券事業 を閉鎖する方針を発表した。スイス2位の銀行クレディ・スイスは経費 削減のためロシア資本市場ビジネスとアドバイザリー業務をロンドンに 移管していると、事情に詳しい関係者2人が明らかにした。

サントラスト・ロビンソン・ハンフリーのアナリスト、エリック・ ワサーストロム氏は「これまで新興市場で最大の投資金融業者は欧州の 投資銀行だったが、ここにきて、資本や資金調達の制約を受けて撤退し つつある」と指摘。「それが空白を作り、必要な資源や能力の不足が原 因で締め出されていた地元勢がその空白を埋めつつある」との見方を示 した。

原題:Wall Street Fading as Emerging-Market Investment Banks Add Share(抜粋)

--取材協力:Zijing Wu、Jason Corcoran、Cristiane Lucchesi、Francisco Marcelino.