黒田ADB総裁:年内の追加緩和は正当化可能-円安は自然な調整

アジア開発銀行(ADB)の黒田東 彦総裁(元財務官)は、日本銀行の物価見通しが目標の2%に達してい ないことから、「日銀が年内に追加緩和を行うことは正当化できるだろ う」と述べた。足元で急速な円安が進んでいることについては「今のと ころ、行き過ぎた円高からの自然な調整だ」との見解を示した。

黒田氏はかねて物価目標の導入を主張しており、月内にも政府が提 示する日銀新総裁の有力候補の1人。ブルームバーグ・ニュースが11 日、東京で行ったインタビューで、総裁候補として名前が挙がっている ことについて「ADBの総裁としてほぼ4年の任期を残しており、今の 職に完全に満足している」と述べるにとどめた。

日銀が2%の物価目標を定めたことについては「極めて適切な措置 であり、画期的な決定だ」と評価した。その上で「日銀が公表している 消費者物価指数上昇率の見通しが2013年度はプラス0.4%、14年度がプ ラス0.9%であることを考えると、年内に追加緩和に踏み切ることは正 当化できるだろう」と語った。

金融政策だけでは物価目標の達成は困難という声が日銀内から上が っていることに対しては、可能だという見解を示した上で、「日銀が買 うことができる金融資産はいくらでもある」と言明。「日銀は2%の物 価目標を達成するための手段をたくさん持っている」と述べた。2%の 物価目標を達成するための期限については「2年というのがグローバル スタンダードだ」と語った。

円相場は自然な調整

日銀の佐藤健裕審議委員は6日、前橋市内で会見し、2%の物価目 標の実現について「今のうちから不可能であると決めつけることは不適 切」としながらも、「日銀だけの努力では達成不可能な数字であり、幅 広い主体による極めて強い努力が必要だ」と述べた。

黒田氏は為替相場については「リーマンショック後、円相場は対ド ルで円高となり、さらにアジア通貨に対してはすさまじいほどの円高と なったが、それは持続可能な状態ではなかった」と指摘。「現在の状況 はもちろん、いわゆるアベノミクスや日銀の金融緩和、財政出動や成長 戦略の影響もあるかもしれないが、基本的には行き過ぎた円高から、よ り持続可能な水準に向けた自然な調整だ」と語った。

12日朝の東京外国為替市場では、円が対ドルで2年9カ月ぶりの安 値水準となる1ドル=94円前半で推移している。

黒田氏については、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノ ミストやJPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストが日銀総裁候 補の筆頭として挙げている。

9日付の産経新聞は、政府が日銀正副総裁人事案について、今月下 旬に予定する安倍晋三首相の訪米前に国会提示する方針を固めた、と報 じた。国会での同意人事をめぐる民主党の強硬路線を踏まえ、21、22の 両日で調整中の日米首脳会談を前に各党の賛否を見極めたい考えだとい う。同紙は10日付紙面で、次期日銀総裁人事で黒田氏の起用が有力にな ったと報じた。