【今週の債券】長期金利0.7%台で下限探る展開、日銀緩和強化の観測

今週の債券市場で長期金利は0.7% 台で低下余地を探る展開が予想されている。日本銀行が今後、新しい正 副総裁の体制の下で金融緩和を強化するとの観測が強く、金利に低下圧 力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが8日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは全 体で0.72%-0.82%となった。前週末終値は0.75%。

前週の長期金利は低下した。日銀の白川方明総裁が4月8日の任期 満了を待たずに、両副総裁の任期が到来する3月19日に辞職することを 表明した。市場では、今後の日銀金融緩和強化の観測が広がり、金融政 策変更の影響を受けやすい新発2年債利回りが10年半ぶり低水準 の0.025%を記録。長期金利は2日連続で0.75%を付けた。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、日銀による4月 以降の付利(超過準備預金に付く金利)の撤廃や資産買い入れ基金の買 い入れ年限長期化の観測から4年ゾーンまでが0.1%以下に沈んでいる とし、「中長期ゾーンをサポートしている」と指摘した。

日銀が13、14日の両日に開催する金融政策決定会合では、金融政策 の現状維持が見込まれている。前回1月の会合では、2003年5月以来と なる2会合連続の緩和に踏み切り、物価目標2%の導入も決定した上、 白川日銀総裁は任期満了前の3月に辞職すると表明したためだ。ブルー ムバーグ・ニュースが有力日銀ウオッチャー13人を対象とした調査で は、全員が現状維持を予想した。

40年債入札

13日に40年利付国債(2月発行)の利回り競争入札が実施される。 5回債と銘柄統合されるリオープン発行となり、表面利率(クーポン) は2.0%となる。発行額は前回債と同額の4000億円程度。

前回入札された40年物の5回債利回りは前週末2.17%で取引を終え た。年初から2.1%台半ばと2.2%程度との間での推移が続いている。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは、今回 の40年債入札について、「利回りが2.1%台後半の水準であれば、保険 会社などの需要により、無難となりそうだ」と言う。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は3月物、10年国債利回りは327回債。

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物3月物143円90銭-144円50銭

10年国債利回り=0.72%-0.78%

「中期債を買い進む流れが続き、5年金利は一段と押し下げられそ うだ。白川総裁の前倒し辞職で4月以降の日銀会合に焦点がしぼられ、 緩和強化を見込んだ相場を組み立てやすくなった。中期債の利回りが急 速に低下したことで、買い遅れている投資家の手が長期債まで伸びるだ ろう。急速に買われて警戒感もあるが、債券を売る明確な理由は見当た らず、恐る恐る金利が低下するのではないか」

◎ソシエテ・ジェネラル証券の菅原琢磨シニア円債ストラテジスト

先物3月物144円00銭-144円70銭

10年国債利回り=0.72%-0.78%

「来期を見据えた需要が金利上昇を抑制する展開を予想している。 現時点で日銀総裁の人事は不透明だが、新体制の下で金融緩和強化との 見方に変化はなく、4月以降も短中期金利は低位安定が続く公算が大き い。ただ、5年債利回りがすでに0.1%台前半まで達するなど、金利水 準面からの妙味は大きく減退しており、こうした中では10年債が0.8% に接近すれば相応に押し目買いが期待できる」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物3月物143円50銭-144円60銭

10年国債利回り=0.72%-0.82%

「米国市場で国債入札があることが重しになるものの、金利低下の 強い地合いが続く。日銀総裁人事、日銀の資産買い入れ等基金の国債買 い入れオペ、2年債利回りの動向が鍵となる。13、14日の日銀金融政策 決定会合では現状維持が見込まれるが、2%の物価目標に向けた政策の 議論はあるのではないか。付利引き下げ、日銀券ルール撤廃を含めた輪 番オペ増額など議論の中身が注目される」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 山中英典, 崎 浜秀磨

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