佐藤日銀委員:マイナス金利なら資金供給可能も、功罪ある-付利撤廃

日本銀行の佐藤健裕審議委員は6日 午後、前橋市内で会見し、日銀当座預金の超過準備部分に適用されてい る0.1%の付利の撤廃について、日銀がマイナス金利で国債を買い入れ れば資金供給は可能かもしれないとしながらも、「想定していなかった 不測の事態が起こる可能性がある」とした上で、そのメリット、デメリ ットを「私自身はもう少し考えてみる必要がある」と述べた。

消費者物価指数の上昇率で2%としている物価目標の実現について は「今のうちから不可能であると決めつけることは不適切」としながら も、「日銀だけの努力では達成不可能な数字であり、幅広い主体による 極めて強い努力が必要だ」と述べた。

佐藤委員は午前中の講演で「2%の物価上昇率を目指すには4%程 度の賃金の伸びを生みだす経済の基礎体力をまずつけることが肝要だ」 と述べた。会見では、過去の賃金、物価、労働市場の関係からすると、 「消費者物価指数の上昇率で2%に相当するのは完全失業率で2%前後 と、完全雇用を通り越して、雇用市場が過熱状態にあるような状況で、 初めて4%程度の名目賃金の上昇が期待できる」と述べた。

同日行った地元経済関係者との懇談についても触れ、「2%を目指 すためには、企業収益の改善を通じて賃金が回復してくることが必要だ ということには、比較的同意された方が多かったが、現在の経済情勢を 踏まえると、企業経営者の立場からは賃金の上昇はなかなか展望しづら いという声が聞かれた」と述べた。

基金の積み上げには不確実性も

日銀は資産買い入れ等基金を年末までに足元の65兆円程度から101 兆円まで積み上げることを既に決めている。佐藤委員は「貸出支援基金 を合わせた追加の資金供給規模は50兆円程度と、未曾有の資金供給を行 う」と指摘。それに伴い、現在40兆円台の日銀当座預金は「90兆-100 兆円に達してくる可能性があるが、これを金融機関に持ってもらえるか どうかは、いろいろと不確実性がある」と述べた。

その上で「仮に付利を廃止すると、日銀が資産買い入れのオペのオ ファーをしても金融機関がオペに応じなくなり、基金の積み上げが難し くなる可能性がある」と指摘。「金融機関がオペに応じるかどうかは金 利水準次第という面があるので、日銀が市場実勢対比で有利な条件を提 示することで、金融機関がオペに参加するインセンティブを与えること ができるかもしれない」と述べた。

佐藤委員は「仮に付利を撤廃しても、たとえば日銀がマイナス金利 で国債を買い入れればオペは成立するかもしれない」と言明。もっと も、「金融機関がリターンを全く生まない当座預金に数兆円単位で寝か しておくと、コーポレート・ガバナンスの観点から問題になる可能性が ある」と指摘。また、「日銀がマイナス金利で国債を買い入れると、金 融機関に対して利益供与しているという見方もあり得る」と述べた。

不測の事態が生じることも

その上で、「国債等にマイナス金利が付くような世界になると、た とえば短期の元本保証型の金融商品、MMF等が商品として成り立たな くなってくるなど、付利のない世界では、これまで想定していなかった 不測の事態が起こる可能性があり、政策効果の不確実性は高い」と指 摘。「付利撤廃はオプションの1つではあるが、今申し上げたようなプ ロ(賛成)、コン(反対)を踏まえる必要がある」と述べた。

白川総裁の早期辞任表明については「総裁、副総裁の新しい体制が 同時にスタートすることが可能になるように、総裁ご自身が判断された ものと聞いている。私の方からはそれ以上に特に付け加えることはな い」と述べた。

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