円ほぼ全面安、対ドルで一時94円台-日銀新体制への緩和期待

東京外国為替市場では円がほぼ全面 安。日本銀行の白川方明総裁の任期満了前の辞職表明を受け、新体制下 で日銀の金融緩和路線が強まるとの観測が広がった。ドル・円相場は一 時、約2年9カ月ぶりに1ドル=94円台を付けた。

午後4時18分現在のドル・円相場は93円81銭前後。一時は2010年5 月以来の水準となる94円06銭まで円安が進んだ。

あおぞら銀行市場商品部の諸我晃次長は、「日銀の新総裁が決まる のが早まったので、金融政策の方針が新たになるのも前倒しになったと いうことだ」とし、「95円はもう視野に入ってきている」と話した。

ユーロ・円相場も一時、1ユーロ=127円71銭を付け、10年4月以 来の円安値を更新。諸我氏は、ユーロ高と円安がかなり進んできている ため、あすの欧州中央銀行(ECB)会合では「ユーロ高についてのコ メントがなされるかどうか、ユーロ高・円安のトレンドが確認されるの かどうか」が焦点になると語った。

一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.35ドル後半でもみ合ってい たが、1.3600ドルには届かず、午後には1.35ドル半ばまで伸び悩んだ。

日銀総裁人事

白川総裁は5日、4月8日の任期満了を待たずに、両副総裁の任期 が到来する3月19日に辞職することを安倍晋三首相に伝えた。同日開か れた経済財政諮問会議後に白川総裁が記者団に明らかにした。理由とし て、総裁と副総裁の新しい体制が同時にスタートすることが可能となる と述べた。

みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケット・エコノ ミストは、「新しい副総裁とあと1カ月未満で任期満了となる総裁が一 緒に金融政策決定会合を行う方がおかしい」と言い、白川総裁の前倒し 辞職により「4月の最初の会合で、いびつな形になるのは回避される」 と指摘。その上で、円がどこまでいくかは「政府・日銀の取り組みでど こまでもっていきたいかという思いの強さにかかっている」と話した。

NHKは、首相は日銀の白川総裁の後任に、自らが掲げる大胆な金 融緩和を推進する人物を起用して、できるだけ多くの野党の賛同を得た い考えだと報じた。今月下旬の訪米後の提示を視野に人選を進める。

次期日銀総裁候補としては、日銀による外債購入を提唱した岩田一 政元日銀副総裁や竹中平蔵慶応大学教授のほか、武藤敏郎元財務事務次 官、黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁(元財務官)、東京大学大 学院の伊藤隆敏教授らの名前が政界関係者やエコノミストなどの間で取 り沙汰されている。

三井住友銀行市場営業部ニューヨークトレーディンググループのグ ループ長、柳谷政人氏(ニューヨーク在勤)は、白川総裁の後任には 「緩和を強く推し進める人」が見込まれており、「さらに円サイドには 緩和が強く効くのではないかとの思惑が働きやすい」と指摘した。

6日の東京株式相場は大幅反発。白川総裁の早期辞職表明を受けた 円安進行やデフレ脱却期待などが手掛かりに、日経平均株価は400円を 超える上昇となり、10年4月に付けたリーマンショック後の戻り高値を 更新した。

円安・株高

日銀の佐藤健裕審議委員は6日午前、前橋市内で講演し、政府や日 銀はこれまでも成長力強化に取り組んできたとしながらも、「これまで の延長線上の政策で2%という数字はなかなか現実感を持って受け止め にくく、これまでとは次元の異なる相互の取り組みが必要とされてい る」と述べた。

一方、国際通貨基金(IMF)のリプトン筆頭副専務理事は6日午 前、内閣府に甘利明経済再生担当相を表敬訪問し、日本の脱デフレ・成 長政策への支持を示した。リプトン氏は麻生太郎財務相とも会談。財務 省幹部は、為替は議題に上らず、通貨安競争への懸念も示されなかった と記者説明した。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨