債券は上昇、白川総裁辞意で緩和強化の観測-超長期債は売りやや優勢

債券相場は上昇。白川方明日銀総裁 が任期満了前に辞職すると表明したことで、今後の新体制での緩和強化 の観測が出て、中期債を中心に買いが入った。半面、超長期債など年限 の長いゾーンは売りがやや優勢となった。

東京先物市場で中心限月の3月物は前日比6銭安の143円84銭で始 まり、いったんは143円82銭に下落。その後は水準を切り上げ、3営業 日ぶりに144円台を回復し、一時は144円15銭まで上昇した。午後は144 円00銭付近でもみ合いとなり、結局は11銭高の144円01銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の327回債利回 りは同1ベーシスポイント(bp)高い0.80%で始まったが、その後は水準 を切り下げ、1.5bp低い0.775%まで低下した。午後に入るといったん は0.78%に低下幅をやや縮めたが、再び0.775%で推移した。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、債券市場について、「銀行などがデュレーション(期間)を短期化 して短中期債を買っているようだ。一方、長い年限には売りが出ている もよう」と話した。白川総裁が辞職を表明したことについては「新体制 を早期に整えるためで大きな意図はないと思う。ただ、追加緩和への期 待感から、海外勢主導で円安・株高となっている」と述べた。

2年物の325回債利回りは同1bp低い0.045%に低下。新発2年債利 回りとしては2004年2月18日以来の低水準を付けた。5年物の107回債 利回りは横ばいの0.155%で始まり、午前9時すぎから1.5bp低い0.14% と、過去最低に並んで推移した。

三菱東京UFJ銀行の関戸孝洋ジャパンストラテジストは、新執行 部で付利(日銀超過準備に付く金利)の引き下げや国債買い入れ増額を 4月にも議論する公算が大きいと指摘。その上で、「早めの政策織り込 みで中期債は買いが入っている」と話した。

超長期債は軟化

20年物の141回債利回りは午前に1bp低い1.775%に低下したが、午 後は0.5bp高い1.79%に上昇。30年物の37回債利回りは午前に1bp低 い1.985%に低下したのが、午後は0.5bp高い2.00%で推移した。

日銀の白川総裁は5日、4月8日の任期満了を待たずに、両副総裁 の任期が到来する3月19日に辞職することを安倍晋三首相に伝えた。日 銀正副総裁3人が交代し、新しい体制で金融政策に臨むことになる。

メリルリンチ日本証券の大崎秀一債券ストラテジストは、日銀総裁 の辞意表明をきっかけに債券買いが活発化したと指摘。「為替は海外市 場で円安が進展し、欧米株高もあって朝方には債券反落の見通しが多か ったが、実際には株高・円安・債券高の構図。付利の引き下げや撤廃な どの思惑で、5年債利回りは過去最低に並ぶなどしっかりの展開だ」と 話した。

--取材協力:赤間信行. Editors: 山中英典, 崎浜秀磨