GSユアサ:リチウム電池の生産計画を維持-B787の波紋の中で

ジーエス・ユアサ・コーポレーショ ンは、リチウムイオンバッテリーの生産計画は現状を維持する方針だ。 同社製のボーイング787型機向けバッテリーの不具合問題が航空業界 に波紋を広げているが、同社経営幹部が今年トラブルが相次いだB78 7の問題について、公式に言及するのは初めて。

中川敏幸取締役が5日、京都市内の記者会見で明らかにした。航空 機向けや産業向け、自動車用などのリチウムバッテリーについて同氏は 「現時点で生産計画に変更はない」と述べた。同社の主力事業である自 動車向けバッテリーには同問題の影響は出ていないとしている。

ボーイング787の不具合問題では、1月16日に高松空港に緊急着 陸した全日空機に搭載したGSユアサ製のメーンバッテリーが損傷して いた。同月7日にも米ボストンのローガン国際空港で日本航空の同型機 のバッテリーから出火する事故が起きた。相次ぐトラブルの発生によ り、米連邦航空局(FAA)が米航空会社に運航停止を決めたことか ら、全日本空輸や日航などB787を保有する世界の航空会社が運航停 止を続けている。

B787と従来の航空機との大きな違いのひとつは、大型のリチウ ムイオン電池を搭載しており、大量の電力を航空機内のさまざまな動力 に活用していることで、B787は別名「電気航空機」とも呼ばれてい る。リチウムイオン電池はGSユアサが供給しており、仏タレス社が構 築するバッテリー動力のコンポーネントとしてボーイングに納品されて いる。現時点でリチウムイオン電池を供給できるのはGSユアサだけ。

B787向けバッテリーの生産を続けているのかとの記者団からの 問いに対して中川氏はコメントは差し控えるとしたが、記者会見後、同 氏は記者団に同バッテリーはB787にとって不可欠な部材で、「それ なくしては飛行機の完成はあり得ない」として生産の継続を示唆した。

原因は特定できず

国土交通省とFAAが共同で同社へ立ち入り検査を実施など調査が 続いている。中川氏は「現在諸機関における原因究明調査に全面的に協 力」していると述べたが、これまでのところ、全日空機が緊急着陸した トラブルに直結するような要因は見つかっていない。

運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は5日、記者団への説明で、調査 対象のすべてのバッテリーセルに熱による損傷がみられたと指摘。「熱 暴走が起きたのではないか、そういうことは言える」と述べ、ボストン で出火したトラブルと同様にバッテリー内部で「熱暴走」と呼ばれる異 常高熱が起きていたことを明らかにした。

中川氏は同社のリチウムバッテリーの品質について、「十分に安全 を考慮しながら、すべての製品を納入している」とし、B787のトラ ブルによる「風評被害は現在のところないと思う」と語った。

同社のリチウムイオンバッテリー事業の中心となる自動車バッテリ ーについては、メーカーに状況を説明して理解を得ているとし、自動車 向けの事業には「影響を与えていないと思う」とした。

業績に与える影響はない

同社のB787向けバッテリーの売上高は、中川氏によると通期ベ ースで数億円規模。リチウムイオンバッテリー事業全体の売上高は、4 -12月期で約67億円だった。同氏は、B787向け事業は「現時点で売 り上げや利益に占める割合は極めて軽微」として、不具合問題による 「業績に与える影響はない」としている。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「現時点ではトラブルに ついては何とも言えない。しかしGSユアサの株価を見る限りB787 のトラブル以降、そう大きく下げていないので、マーケットのコンセン サスは、GSユアサ1社の責任ではないということだろう」との見方を 示した。株価は緊急着陸した16日に一時、前日比5.4%安の318円に下落 したが、翌日に297円まで下げる場面もあったが、その後値を戻し5日 の終値は331円となっている。

自動車向けバッテリー販売は半減

同社が5日発表した2012年4-12月期の純利益が前年同期比3.6% 減の55億2000万円だった。電気自動車向けリチウムイオンバッテリーの 販売が前年同期に比べ半減したことが響いた。

売上高は同4.6%減の1959億円、営業利益は同28%減の64億6000万 円だった。中国では自動車電池の販売数量が増加したが、東南アジアや 欧州での売り上げが減少し、円高の影響もあり海外販売は前年同期 比2.3%の減収となったことも全体の売上高を押し下げる要因となっ た。同社は通期の業績予想を据え置いた。

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