S&Pに50億ドルの民事制裁金も-米政府がMBSめぐり提訴

大恐慌以来最も深刻な金融危機の主 因となった住宅ローン担保証券(RMBS)などの格付けを不当に高く したとして、米政府が同国の格付け会社スタンダード・アンド・プアー ズ(S&P)と親会社マグロウヒルを4日にロサンゼルスの連邦地裁に 提訴した民事訴訟で、司法省が請求する制裁金は最大50億ドル(約4680 億円)になる可能性がある。

ホルダー司法長官は5日、ワシントンで、S&Pは虚偽の表示を行 い、事実を隠したほか、格付け基準を操作し、利益のためにモデルを高 く評価したと指摘。「これらの疑惑をはらんだ行為は悪質であり、先の 金融危機で非常に大きな役割を果たした」と説明した。

司法省は金融危機に絡んで格付け会社を初めて提訴した今回の裁判 で、3つの詐欺行為を追及している。司法省に加え、13州とコロンビア 特別区の司法当局も同日、S&Pを提訴した。イリノイ、コネティカッ ト、ミシシッピの3州は既に提訴済み。

訴状によると、S&Pは2004年9月から07年10月にかけて、 RMBS2兆8000億ドル余りと、債務担保証券(CDO)約1兆2000億 ドルを格付け。これら証券を発行した投資銀行からさらに仕事をもらう ため、証券の一部のリスクを過小評価したと司法省は主張している。

他の格付け会社

司法省のトニー・ウェスト司法次官代行は、連邦が預金保証する金 融機関の損失に基づけば、制裁金額は50億ドル強になり得るとした上 で、司法省はこの数字を「かなり控えめ」とみていると述べた。

マグロウヒルの過去4四半期の純利益は8億6700万ドル。同社は不 正行為を否定している。S&Pの広報担当キャサリン・マティス氏は、 「格付けを低くすべきだと知っていながら故意に高く据え置いたとの主 張は全く正しくない。こうした根拠のない主張にしっかりと弁護するつ もりだ」と語った。

グレースパーク・パートナーズ(ロンドン)の資本市場アナリス ト、フレッド・ポンゾ氏は電話インタビューで、「格付け会社にはこの 先 難しい局面が待ち構えている」とした上で、「恐らくS&Pを皮切 りに、他の格付け会社も報いを受けるだろう」と指摘した。

フィッチ・レーティングスは「同様の訴訟に直面すると信じる理由 は見当たらない」との同社スポークスマン、ヌーナン氏のコメントを電 子メールを通じて発表した。

司法省ナンバー3のウェスト氏は、他の格付け会社にも同様の調査 が行われているかどうか明言を避けた。「S&Pが増収とRMBS・ CDO格付け市場でのシェア拡大を欲したことが、クレジットリスクの 過小評価と軽視につながった」と司法省は指摘した。

原題:S&P Penalty May Reach $5 Billion From U.S. Suit Over Ratings (4)(抜粋)

--取材協力:Matt Robinson、David McLaughlin、Joel Rosenblatt、Ben Moshinsky.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE