トヨタ:アベノミクス効果で純利益予想増額-国内販売も風

自動車メーカー世界最大手のトヨタ 自動車は今期(2013年3月期)の純利益予想を上方修正した。安倍晋三 政権誕生以降の円安の恩恵を受けたもので、国内販売店に客足が戻るな ど、数字にとどまらず実態経済でも景気回復の兆しがみられるという。

「日本全体に景気回復に向けた気がみなぎっているように感じる。 販売の第一線は活気が出ている」-トヨタの伊地知隆彦専務は5日、都 内で開いた決算会見でこのように述べ、年明け以降に店舗に客足が戻る など「アベノミクス」で人々の消費意欲が改善している現状を指摘。エ コカー補助金終了の影響などで前年比17%減の140万台に落ち込むとみ ていたトヨタ・レクサスブランドの国内販売台数について上方修正も検 討していると述べた。

トヨタの5日の決算資料によると、今期純利益予想は従来の7800億 円から前期比3倍の8600億円に修正。単体の今期の営業損益予想は、従 来の200億円の赤字から1500億円と5年ぶりの黒字転換に見直した。今 期の為替前提は最近の円安を反映して、1ドル=81円(従来79円)、1 ユーロ=104円(同100円)に変更。12年10-12月の純利益は、米国の集 団訴訟関連の費用を計上したものの、為替変動の影響で500億円のプラ ス要因となったことなどで、前年同期比23%増の999億円。

SMBC日興証券株式調査部の西広市部長は、世界景気の回復や安 倍政権の経済政策への期待などによる昨年来の円安や株価上昇の流れの 中で、今回のトヨタの決算でそうした市場の期待が「実態経済に裏付け られた」形となったと指摘。為替動向を考えると、来期は「今期以上の 上振れが期待できるのではないか」と話した。

世界首位を奪い返す

12年のダイハツ工業と日野自動車を含むトヨタのグループ世界販売 (小売りベース)は東日本大震災からの立ち直りなどで、前年比23%増 の974.8万台と大きく伸び、米ゼネラル・モーターズ(GM)の929万台 や、独フォルクスワーゲン(VW)の907万台を抑えて、2年ぶりに世 界首位の座を奪い返した。13年は991万台の販売計画を掲げている。

トヨタの伊地知氏は13年の世界自動車市場の見通しについて、好調 な米国市場の規模が1500万台超えの可能性もあると指摘し、トヨタとし ては今年220万台の販売を目指していきたいと述べた。欧州やアジアで も前年以上の販売を狙うほか、中国での日本車の不買運動の販売影響に 関しては、従来予想より、金額・台数とも縮小してきており、改善の兆 候がみられるという。

伊地知氏はこうした環境の中で、販売増に伴って生産を急拡大させ て失敗したリーマンショック以前の時期の教訓を生かし、固定費のコン トロールを通じて、粗利の改善を図ると表明。今後、3年間は新たな計 画に基づく工場を建設しない方針を示し、「筋肉質で柔軟な企業体質を つくり、持続的成長を図りたい」と話した。

営業益2兆円超えが次のステップ

みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、円安が トヨタにもたらす恩恵について「トヨタはこれまで原価低減をしても為 替で相殺されるというのが現状だった。それが実を結んでいくことにな るが、為替次第というところは大きい」とコメント。来期に08年3月期 以来の「営業利益2兆円超えを目指すのが次のステップであり、超えな ければいけないハードルだ」と述べた。

国内自動車メーカーでは、ホンダが1月31日、今期の売上高や営業 利益の予想を据え置く一方、純利益予想を従来比で50億円引き下げ て3700億円(前期比75%増)とした。昨秋からの円安による為替予約の 時価評価損などを織り込んだ。今期の為替前提は1ドル=81円、1ユー ロ=105円とした。日産自動車は8日に決算発表の予定。

トヨタ株は6日、前日比4.6%高の4750円で取引を開始。午前10時 現在までに、一時は08年9月末以来の高値水準となる4780円をつけた。

--取材協力:萩原ゆき、Ma Jie. Editor: 浅井秀樹

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