東工取:米国取引所と接触、システム共同利用-国内統合慎重

国内の商品先物取引で9割以上のシ ェアを持つ東京工業品取引所の江崎格社長は、取引システムの共同利用 の可能性をめぐり、米国の取引所と接触していることを明らかにした。 共同利用を通じ、経費の大半を占めるシステム開発・維持費の削減を図 るほか、海外投資家を呼び込むことで取引を活性化する狙いもある。

江崎氏は1日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「今 年半ば、遅くとも今年中には方向を決めたい」と述べた。現在接触中の 取引所の具体名には言及しなかった。東工取の年間営業費用は約20億円 で、取引システム費が7割程度を占める。江崎氏は昨年1月の会見で、 取引活性化への戦略として、シカゴ商品取引所(CME)やシンガポー ル取引所といった海外取引所との連携を今後の選択肢に挙げていた。

国内商品取引所をめぐっては、政府が株式や債券、商品先物市場の 国際競争力を強化するため、2013年度末をめどに各市場を統合した「総 合取引所」の創設に向けた法整備を目指しており、東工取の動向が注目 されている。江崎氏は、デリバティブ(金融派生商品)と現物を統合し た海外の取引所の例では、「シンガポールや韓国の取引所はデリバティ ブが失敗している」とし、取引所の一本化には慎重な姿勢を示した。

野村総合研究所の大崎貞和未来創発センター主任研究員は、東工取 と海外取引所との取引システムの共同使用について、「ポジションの移 管を含めた取引所グループのネットワークに入るところまでいかない と、今の厳しい状態を打破する戦略としては弱い」と指摘。有効な提携 先としては「CMEグループかICE(インターコンチネンタル・エク スチェンジ)グループしか選択肢はないだろう」と語った。

1月は損益分岐上回る

東工取は金やプラチナ、ゴム、石油などを上場し、昨年の取引高は 国内の総取引高の93%を占めたが、前年比では2割減と04年から続く減 少傾向に歯止めがかからず、ピーク時の29%まで落ち込んだ。03年には 世界2位の商品取引所だったが、インドのマルチ商品取引所や中国の上 海期貨交易所などに抜かれ、11年は12位。東工取は11年度まで4年連続 で経常赤字を計上しており、12年4-9月も2550万円の赤字だった。

監督官庁である経済産業省の豊永厚志・商務流通保安審議官は先週 のインタビューで、東工取の取引減少に懸念を示し、「海外の投資家な り取引所を取り込む国際戦略が必要」と述べていた。

もっとも、今年に入ってからは、安倍晋三政権下での円安進行の追 い風を受け、商品市場でも投資マインドが強まっている。1月の1日平 均取引高は前月比26%増の13万8736枚と、損益分岐水準の12万枚を上回 った。12万枚超えは11年9月以来。東工取は今月12日に東京穀物商品取 引所から大豆やトウモロコシなど4品目の農産物市場の移管を受ける。 江崎氏は、取引高を15万枚まで回復させるのが当面の目標だと語った。

江崎氏はまた、投資資金を呼び込むためには、商品先物と現物株式 との損益通算が可能になるような会計・税制改正が望まれると強調。そ の上で、損益通算が実現すれば、総合取引所への参加は必ずしも必要で はないとの考えを示した。

一方、金融庁総務企画局市場課の古沢知之課長は1日のインタビュ ーで、「総合取引所の実現を条件として商品デリバティブの一体化の検 討を進めていく。総合取引所の実現というのは、東工取と日本取引所グ ループとが一緒になるということが条件になってくる」と語った。

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