GPIF:基本ポート検証を今春開始、市場変化対応-理事長

世界最大の資産規模を持つ日本の年 金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、資産運用の基本となる ポートフォリオの検証作業を今春に開始する。

GPIFの三谷隆博理事長は1日、ブルームバーグ・ニュースとの インタビューで、昨年の会計検査院の指摘事項の一つに定期的にポート フォリオを検証すべきとの文言があったと指摘した上で、「4、5月か ら検証作業を開始し、その結果いかんでは、多少手直しということもあ るかもしれない」と述べた。

株式、為替市場では昨年11月中旬以降、自民党の政権復帰とそれに 伴う日本銀行の追加金融緩和の可能性を材料視し、それまでの基調が一 変、株高・円安の動きが加速した。円は対ドルで1ドル=92円台後半と 約2年8カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。TOPIXは1月第5 週まで12週続伸し、ブルームバーグ・データによると40年ぶりの連続上 昇記録となっている。

債券市場では、長期金利の指標となる10年債利回りが昨年12月6日 に一時0.685%と2003年6月以来の水準にまで低下。その後上昇に転じ て0.84%を付けたが、日銀が実際に金融緩和を強化すると再低下し、足 元は0.7%台で推移している。

債券「厳しい」、株高「適正」

三谷氏は、運用資産の6割強を占める国内債券について、「過去10 年間は金利低下局面だったので、もうけ頭だった。しかし、これから金 利上昇局面になれば、厳しい環境になる」との認識を示した。長期金利 の先行きについては、持続的なインフレが展望できるかどうか次第で、 「読みづらいところだ」と指摘。日銀がしばらく金融緩和を強める方向 であり、「金利は抑制されるだろう。その後は、物価上昇に沿った金利 水準になるのではないか」とし、景気回復や物価が上昇すれば、0.7% 台の低水準は続かないとの見方を示した。

一方で日本株の上昇に関し、「これまではデフレや人口減少などか ら過小評価されていた。急激に値上がりして心配というより、適正に評 価されてきている」と分析。為替の円安や株価の上昇傾向はなお続くだ ろうとし、株価は「危険水域まではまだまだ」とみている。

10年度から14年度までを対象期間とする第2期中期目標での基本ポ ートフォリオは、国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株 式9%、短期資産5%。前提条件は名目長期金利3.0%(物価上昇 率1.0%、実質長期金利2.0%)、運用利回り3.2%となっている。

12年度運用、株高・円安寄与しプラスに

また三谷氏は、12年度の運用状況について「昨年12月以降、株価が 上昇し、円安方向に振れたのでかなりプラスが出ているのではないか。 7-9月期までの年度収益率はマイナスだったが、これを取り戻してプ ラスになっていることは間違いない」と発言。11年度の2.32%に続き、 プラスになるとの見通しを示した。

GPIFの今年度の収益率は、12年4-6月期にマイナス1.85%だ ったが、7-9月期は外国株式の上昇が寄与してプラス0.49%、4-9 月累計ではマイナス1.39%だった。

このほか三谷氏は、昨年半ばに投資を開始したエマージング株式の 運用状況について「うまくいっている」とした上で、現在は外国株の中 でごくわずかの比率ながら、「いずれ徐々に増やしていっても構わな い」との見解を示した。オルタナティブ投資に関しては、実際の運用を 念頭に置いた調査研究を複数の機関に依頼しており、今年度中に上がっ てくるリポートを踏まえ「来年度にもう一度議論してみる」と言う。

ことしの国内景気については、「日銀の踏み込んだ姿勢や今年度補 正予算、アベノミクスによる従来の閉塞感の薄れなどから少なくとも昨 年よりは多少良くなってくる」と同氏は予想。世界景気も、欧州財政問 題の小康状態や米国の「財政の崖」問題の悪影響回避などから、マイナ ス方向での不透明感は薄らぎ、「明るさが戻ってくる」とした。

昨年9月末のGPIFの資産構成は、財投債を含む国内債券は69 兆3201億円(年金積立金全体の構成割合63.35%)、国内株式は12 兆3447億円(同11.28%)、外国債券は9兆6399億円(同8.81%)、外 国株式は12兆6406億円(同11.55%)、短期資産は3兆7779億円 (同5.00%)。合計の運用資産額は107兆7231億円となっている。

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