米国債市場に弱気相場観測なし、09年以来の低調な出足でも

米国債相場は2009年以降で最も低調 な1年のスタートを切ったものの、デリバティブ(金融派生商品)市場 では、向こう3年間に債券が弱気相場入りする可能性はほとんどないと 予想されている。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が 失業率低下に向けて量的緩和策を継続する姿勢を打ち出しているから だ。

バークレイズのデータによると、オプション取引で10年物米国債利 回りの急上昇に備える需要は、2009年以降の平均付近に低下してい る。10年物金利スワップで固定金利を支払う権利を得る3年物スワップ ションと、同金利スワップで固定金利を受け取る権利を得る3年物スワ ップションのボラティリティの差で示される「ペイヤー・スキュー」 は、昨年6月1日の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から 約15bpに縮小している。

投資家が高利回りを求めて高リスク証券に向かう中で、米国債の1 月のリターンはマイナス0.95%となった。その一方で、FRBは失業率 が6.5%を上回りインフレ率が2.5%を下回る限り、米国債と住宅ローン 担保証券(MBS)を合計で毎月約850億ドル購入する方針を維持して いる。1月の失業率は7.9%に上昇し、インフレ率はFRBの目標を依 然下回る水準にあり、米経済は昨年10-12月(第4四半期)に予想外の マイナス0.1%成長となった。

失業率が焦点

RBSセキュリティーズの米国債戦略責任者、ウィリアム・オドネ ル氏は1月28日のインタビューで、「米金融当局の懸念と焦点は引き続 き失業率だ」と指摘。「当局の目から見ると、失業率はまだ十分に良い とは言えない」と述べ、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が1 年で3%から6%に引き上げられて利回りが急上昇した1994年のような 動きが金利先高観を持つ人々の間で予想されていないのは驚くことでは ないと付け加えた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、10年物米国債利回 りは先週、7bp上昇して2.02%。バンク・オブ・アメリカ(BOA) メリルリンチの指数によると、今年1月は09年1月のマイナス3.1%以 来の低調な出足。

ブルームバーグが集計したストラテジスト77人の予想中央値では、 昨年7月25日に1.379%の過去最低水準まで低下した10年債利回りは、 今年年末までに2.25%前後まで上昇する見通し。同水準まで上昇すれ ば、投資家にとって税引き前でマイナス0.54%のリターンとなるが、5 年間の平均水準である2.9%を依然下回る。

クルーグマン氏とグロース氏

ノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大学教授(経済学)のポー ル・クルーグマン氏は、米国債の歴史的低金利が価格バブルを示唆する 恐れはないと指摘する。米パシフィック・インベストメント・マネジメ ント(PIMCO)で世界最大の債券ファンドを運用するビル・グロー ス氏は、価格は「バブル」のように見えるかもしれないが、重要なのは 各国中央銀行による先例のない金融刺激策は早期に終了しないことだと の見解を示した。

クルーグマン教授は1月28日にブルームバーグテレビジョンのイン タビューで、「投資家はプラスの実質利回りを得られないことをよく承 知している」と述べ、「国債が他の商品より安全性が高いと考えている だけだ」と指摘した。

ペイヤー・スキューは06年から08年の間はおおむねマイナス圏にあ り、金利低下に備える需要が比較的大きかったことを示唆している。米 当局はFF金利誘導目標を07年9月の5.25%から08年12月には金融危機 を受けて過去最低の0-0.25%に引き下げた。

ブルームバーグがエコノミスト44人を対象に実施した調査の予想中 央値によると、FRBの現行の景気刺激プログラムは2014年1-3月 (第1四半期)に終了すると見込まれており、債券購入額はそれまでに 1兆1400億ドルに達する見通し。これまで2回の債券購入プログラムで 2兆3000億ドルを購入していた。FRBのバランスシートは先月、初め て3兆ドルを超えた。

パイオニア・インベストメンツのバイスプレジデント、リチャー ド・シュランガー氏は2月1日のインタビューで、「FRBは失業率が 持続的に低下するのを待ちたい姿勢を極めて明確にしている」と述べ、 「FRBが究極の買い手である限り、長期金利が劇的に上昇することは ない」と指摘した。

原題:No Bear Market for Treasuries Seen After Worst Start Since 2009(抜粋)

--取材協力:Cordell Eddings、Lisa Abramowicz.