【今週の債券】長期金利0.8%台に上昇か-円安・株高進展で売り圧力

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台へ上昇する展開が予想されている。世界的な景気回復への期待を背景 に円安進行や内外株高が進展しており、債券市場への売り圧力が強まる 見通し。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが1日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.70%-0.82%となった。0.8%台に乗せれば1月15日以来 となる。前週末終値は0.765%。

外国為替市場で円は対ドルで1ドル=92円台後半と2010年5月以来 の水準まで円安・ドル高となった。TOPIXは40年ぶりに週間で12週 続伸となるなど、円安・株高の基調が続いている。また、前週末の米国 市場では米雇用統計や製造業の景況感など堅調な経済統計を受けて、ダ ウ工業株30種平均は5年4カ月ぶりに1万4000ドル台を回復した。これ を受けて米10年国債利回りは9カ月ぶり高水準を付けた。

松沢中チーフストラテジストは、世界的なリスクオン(選好)の流 れは続いているとし、米国では日本と対照的に金利市場が緩和の出口を 織り込み始めたと指摘。「これまで量的緩和第3弾(QE3)下で安定 していた米5年金利が上振れ始めている」と言う。

一方、長期金利が0.8%台に上昇した局面では買いが見込まれてい る。松沢氏は、前週の2年債入札の堅調さは単に利下げの観測ではな く、日銀オペの買い圧力がじわじわと短中期ゾーンの利回り曲線を作り 変えていることを示すと指摘。同ゾーンがさらに低下しなくても動かな いだけでも長期金利のアンカーとして働くと言い、「10年0.8%台は買 われる地合い」だとみている。

10年債入札、1000億円増発

財務省は5日、10年利付国債(2月債)の入札を実施する。前週末 の入札前市場で10年物は0.775%付近で推移しており、表面利率(クー ポン)は前回債から横ばいの0.8%となる見込み。発行額は前回債か ら1000億円増加の2兆4000億円程度となる。

経済指標では、7日に昨年12月の機械受注統計が発表される。ブル ームバーグの予測調査によると、船舶・電力を除く民需は前月比0.9% 減少(11月は同3.9%増加)が見込まれている。

1日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は3月物、10年国債利回りは327回債。

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物3月物143円80銭-144円30銭

10年国債利回り=0.74%-0.80%

「軟調な展開を予想。欧州金融市場の正常化により、円債市場から 資金流出が続き、10年債利回りは0.8%を目指す。株式や為替市場でリ スクオンが続き、米10年債利回りの2%台が定着すれば、円債には売り が出る。10年債入札では、クーポン0.8%であれば需要があると思う。 週初めに調整して利回りが0.8%に接近すれば買いやすくなるので、増 発はそれほど影響ないだろう」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物3月物143円50銭-144円60銭

10年国債利回り=0.72%-0.82%

「10年債利回りは0.8%台乗せか。円安・株高が進み、米10年債利 回りの2%台定着の流れになれば、国内債の重しとなり、売りが優勢と なりそう。米10年債の2%定着では、日本は0.8%ぐらいが適正ではな いか。5年債が安定しており、下値では買いたい投資家もいる。10年債 入札ではクーポンが0.8%となりそうだが、0.7%の可能性もある。どち らとなっても、需給は良いので入札は無事に消化されるだろう」

◎クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長

先物3月物143円60銭-144円60銭

10年国債利回り=0.70%-0.80%

「円安・株高が進行する中でも、たんたんと押し目買いが入りそう だ。銀行は貸し出しが伸びず余資を振り向けていかざるを得ない。生保 も株式や貸し出しから国債に資金を移している。四半期ごとに約2兆円 ペースで積み増しており、30年債の増発も十分消化していける。た だ、20年債は利回り水準が生保の昨年度の国内運用利回りの実績を下回 っており、買い進みづらい」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマ ネジャー

先物3月物143円80銭-144円50銭

10年国債利回り=0.73%-0.79%

「米国では財政協議をめぐる先行き不透明感が根強いほか、雇用統 計の通過でいったん材料出尽くしとなるだけに、長期金利の持続的な上 昇は見込みにくい。一方、国内では金融緩和強化の期待が新体制下で実 施の4月会合までくすぶり続ける公算が大きい。円安・株高でも債券は レンジ取引が続きそう。10年入札に前後して0.7%台後半に金利が上昇 すれば着実に買いが入る」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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