【日本株週間展望】政策期待で13週続伸へ、決算で明暗も

2月第1週(4-8日)の日本株 は、国内政策に対する根強い期待、世界景気の先行き楽観を背景に13週 続伸しそう。国内企業の決算発表の本格化を受け、業績内容により個別 銘柄の明暗が分かれる見通し。全般的な収益拡大による「業績相場」へ の移行は難しく、過熱感が漂う中で上昇ピッチは鈍るとみられる。

みずほ信託銀行の荻原健チーフストラテジストは、「為替の円安ト レンドが大きく崩れない限りは、株価も引き続き政策期待で支えられる だろう」と指摘。利益確定売りをこなしながら、「高値もみ合いのイメ ージ」と言う。ここからもう一段高となるには、「実体経済に目を転 じ、円安による業績への好影響の鮮明化や、米国経済の明確な回復など が材料として必要」としている。

1月第5週のTOPIXは週間ベースで12週続伸し、前週末と比 べ2.8%高の942.65で終了。中長期的な先高観を背景に幅広く買いが入 る中、東証1部33業種では鉄鋼や鉱業、証券・商品先物取引、銀行、情 報・通信、輸送用機器などが値上がり率上位に並んだ。日経平均株価も 週間で2.4%高の1万1191円34銭と、12週連続で上昇した。

衆院解散の流れが決まった昨年11月14日以降、為替の円安進行に連 動する形で日本株は上昇を開始。12月の衆院選で自民党が勝利すると、 円安・株高はさらに加速した。1月22日の日本銀行の金融政策決定会合 で、2%の物価上昇率目標の設定、2014年からの無期限金融緩和の表明 がされると、過熱感もあって、いったん反対売買で株価は下げる場面も あったが、調整は一時的。安倍政権の経済活性化策、日銀のさらなる金 融緩和への期待から、日本株は再び上値を試す動きとなっている。

欧州懸念後退、米統計堅調

海外に目を向ければ、欧州中央銀行(ECB)が供給した3年物長 期リファイナンスオペ(LTRO)で、金融機関の資金返済額がエコノ ミストらの予想を上回ることが先月25日に明らかになり、欧州債務問題 への警戒感が後退。米国では、昨年12月の耐久財受注が市場予想を上回 る伸びとなり、シカゴ地区の1月の製造業景況指数も予想以上の改善だ った。中国で1日に発表された1月の製造業PMIは、市場予想の中央 値には届かなかったが、生産活動の拡大を示す50は上回った。

BNPパリバ証券の丸山俊日本株チーフストラテジストは、「少な くとも向こう数カ月は、米中をはじめとする海外景気の改善傾向が続 く」と読む。外需の回復期待を背景に、日本国内でも昨年12月の鉱工業 生産指数が前月比2.5%上昇し、4カ月ぶりの高水準となった。先行き の生産動向を示す製造工業生産予測指数は、1月が同2.6%上昇、2月 は同2.3%上昇が見込まれ、経済産業省は基調判断で「総じて見れば、 生産には下げ止まりの兆しが見られる」とした。

世界景気への楽観論が広がりつつある中、米国債市場では1月28日 に10年債利回りが一時、約9カ月ぶりに2%まで上昇。日本の新発10年 物国債利回りが0.7%台で安定推移する中、日米金利差は拡大基調にあ り、為替の円安が進みやすい。1日には1ドル=92円台と、約2年8カ 月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。

海外勢も「押し目待ちに押し目なし」

BNPパリバの丸山氏は、「マーケットにはまだ買えていない投資 家が多く、日本株の上昇はこれで終わりではない」と見ている。日本株 の方向性を決めるのは、市場全体の売買代金シェアで約6割を占める海 外投資家だ。東京証券取引所の直近データによれば、海外勢は1月4週 まで11週連続で買い越した。1月最終週も、取引開始前の外資系証券6 社経由の注文状況が全5日で買い越しと観測されており、この週も海外 勢は買い越した公算が大きそうだ。

1月に欧米、アジアの機関投資家を訪問した野村証券の田村浩道チ ーフストラテジストらによると、「日本株に対して強気に見始めている 投資家が増えているものの、まだアンダーウエートを継続している投資 家も多かったという印象だ」という。今は、エントリーポイントを待っ ている投資家が多い状態で、「だからこそ相場の地合いも強く、『押し 目待ちに押し目なし』の状況と考えることができる」と指摘する。

足元では、国内で企業決算の発表が相次ぎ、業績内容に基づき、個 別銘柄の売買が活発化している。1月最終週には、12年4-12月期の連 結純利益が前年同期比34%増だった三井住友フィナンシャルグルー プ、10-12月期純利益が同2倍となったソフトバンクなどが買われた。 一方、13年3月期に2期連続の連結営業赤字になる見通しとなった任天 堂、今期業績と配当予想を下方修正したTDKは売り込まれた。

トヨタや三菱重が決算

野村証投資情報部の品田民治課長はこれまでの決算について、「昨 年10-12月期の実績値は全体的に驚く内容にはなっていない」と分析。 1-3月も株価は上がっているが、実態が良くなっている感じではな く、「為替の円安が効くのも3カ月なので、劇的な為替の変化で業績上 方修正を駆け込み的にするケースも多くはない」と話している。個別に は決算に反応するものが目立つが、「業績面が後押しして相場が上がる パターンは考えにくい」と、品田氏は言う。

2月1週の主要企業の決算発表予定は、4日に武田薬品工業、日立 製作所、三菱地所、5日にトヨタ自動車、旭化成、JXホールディング ス、伊藤忠商事、6日に三菱重工業、マツダ、ニコン、7日にディー・ エヌ・エー、ソニー、鹿島、8日に三越伊勢丹ホールディングス、電 通、日産自動車など。

このほか注視される材料は、米国で4日に製造業受注、5日に供給 管理協会(ISM)の非製造業景況指数が公表予定。欧州では7日に ECB理事会、7-8日に欧州連合(EU)首脳会議が開かれ、中国で は8日に1月の貿易収支、消費者物価指数の発表がある。国内では7日 に昨年12月の機械受注、8日に国際収支の発表、株価指数オプション2 月限の特別清算値(SQ)算出を控える。