円が対ドル92円台、2年8カ月ぶり安値-対米欧と金利差拡大

東京外国為替市場では、円売りが活 発化。対ドルでは1ドル=92円台に水準を切り下げ、約2年8カ月ぶり の安値を付けた。欧州債務懸念の後退や米景気の回復期待を背景に、日 本と米欧との金利差が拡大傾向にあり、ドルとユーロに対して円売り圧 力が強まった。

91円台後半で日本時間朝の取引を迎えたドル・円相場は序盤か ら2010年6月以来の円安値を断続的に更新。午後には円一段安の展開と なり、一時92円30銭と10年6月4日以来の安値を付けた。午後4時7分 現在は92円24銭付近で取引されている。円は対ユーロでも午後に一時1 ユーロ=125円79銭と10年4月30日以来の安値を付け、同時刻現在は125 円70銭近辺での推移となっている。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、ユーロ崩壊や米財政 の崖問題など「不安視されていたことがどんどん解消されている」と言 い、楽観論が強まっていると指摘。安倍晋三政権への期待で円売りが走 っていたが、日本側の材料に出尽くし感が出てきたタイミングで、外部 環境の改善が目立っており、米欧との金利差拡大を背景に円安が加速す る格好になっていると説明している。

米10年債の利回りは1月30日に一時2.03%と、昨年4月25日以来の 水準まで上昇。ドイツの10年債利回りも上昇基調を強めており、日本と の金利差はともに拡大している。

米雇用統計見極め

そうした中、この日の米国時間には1月の雇用統計が発表される。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想によると、非農業部門の 雇用者数は前月比16万5000人増と、前月の15万5000人増を上回る伸びが 見込まれている。家計調査に基づく失業率は7.8%と、前月から横ばい の水準が予想されている。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、日本側で特に新たな材料が出ているわけではない が、今週に入ってからは米長期金利の上昇なども効いており、欧州危機 も落ち着きを見せる中、「相変わらず円安の地合いが強い」と指摘。こ のため、米雇用統計で「ポジティブサプライズが出たときに、米金利が 2%を越えて上昇が加速して、ドル・円をサポートする方向を警戒して おいた方がいい」としている。

また、ユーロ・ドル相場は東京市場で一時1ユーロ=1.3633ドル と、11年11月以来の高値を付け、その後も1.36ドル台を維持して推移。 三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネジン グディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、欧州に関しては 「極端に悪い方に向いていたのが、良い材料が見え始めている」とし、 債務危機の一段落で景況感が上向いて、ユーロの上昇につながっている と説明する。

一方、財務省によると、日本政府は、今年1月中に発行された欧州 安定化メカニズム(ESM)の債券を計4億ユーロ購入した。外為オン ライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「ユーロ買い・円売りにつな がるオペレーションがあったことが確認された」と言い、ユーロ買いに 拍車を掛けたとしている。

1日付の読売新聞朝刊によると、麻生太郎財務相は、15、16日にモ スクワで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、 日本が金融政策によって円安誘導を狙っているとの欧米諸国からの批判 に反論する意向を示しているという。

--取材協力:大塚美佳, 小宮弘子. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨