バドとコロナのビール統合、ABインベブと司法省と協議継続

ビール醸造で世界最大手のアンハイ ザー・ブッシュ(AB)インベブは、メキシコの同業グルポ・モデロへ の完全買収案をめぐって、競争阻害を主張する米司法省との協議を続け ている。司法省はこれより先、買収計画阻止に向けて米連邦地裁に提訴 したが、事情に詳しい複数の関係者によれば、ABインベブはその後も 司法省と買収許可を得るため接触している。

手続きが非公開であることを理由に関係者の1人が匿名で語ったと ころによれば、司法省は競争阻害に該当するかどうかの調査の期限が迫 りつつあるため、とりあえず選択肢を確保しておくために提訴に踏み切 ったもので、両者は譲歩が不可能なほど対立していないという。

司法省が反トラスト(独占禁止)法違反でワシントンの連邦裁判所 に提訴したことを受け、ABインベブとモデロの株価はいずれも下落。 司法省は米国市場での両社間の「激しい競争」がなくなり、ABインベ ブの「イノベーションに取り組む動機が薄れる」ため、完全買収計画は 反トラスト法に違反すると主張している。ABインベブは人気ビールの 「バドワイザー」、モデロは「コロナ」を醸造する。

UBSのアナリスト、メリサ・アーラム氏(ロンドン)は31日のリ ポートで、「買収計画は成立するとみている」が、今年1-3月(第1 四半期)よりも後に「完了時期がずれ込む」公算が大きく、「譲歩を迫 られる可能性がある」と指摘。「提訴が買収計画を白紙にさせるものだ とは思わない」と予想した。

米ビール市場でほぼ半分のシェアを握り、販売トップ銘柄「バドラ イト」を鋳造するABインベブと、米国で最大の輸入ビールである「コ ロナ」を醸造するモデロが統合すれば、2013年の売上高が推定約470億 ドル(約4兆3000億円)の大型企業が誕生する。

譲歩案

司法省で反トラスト部門の責任者を務めるビル・ベーア氏は31日の 電話会議で、ABインベブは、モデロがコンステレーション・ブランズ 社と共同所有する米国の卸売会社、クラウン・インポーツの株式を売却 して反トラスト法をめぐる懸念を払拭(ふっしょく)すると提案してき たが、消費者保護の観点からすると、「全く不十分だ」と指摘した。

ABインベブの情報に詳しい関係者の1人によれば、同社はクラウ ン・インポーツの株式を10年後に買い戻すオプションの権利を放棄する ことを含めた譲歩案を検討している。また、米ビール市場は既に十分に 競争が激しいため、買収計画は理論上成立可能だと同社側は訴える方針 だと同関係者は語った。

ABインベブは買収計画が今年の第1四半期に完了するとはもはや 見込んでいないとのコメントを発表。モデロもメキシコ証券取引所に提 出した文書で、今四半期中の手続き完了は見込めなくなったとの見通し を示した。

ABインベブは昨年6月、新興市場でのシェア拡大を目指してモデ ロ株の未保有分50%を取得することで合意した。メキシコのビール販売 は消費量で世界2位の米国など先進諸国を上回るペースで伸びている。 世界1位は中国。

司法省のベーア氏は「モデロを完全所有して支配下に置くことにな れば、ABインベブは米国でビールの小売価格引き上げが可能になる」 との見解を発表。「ビール業界の重要な競争相手であるモデロをABイ ンベブが排除するのを阻止することが訴訟の目的だ」と説明した。

原題:AB InBev, DOJ Talks Said to Proceed as Deal Seen Salvageable (1)(抜粋)

--取材協力:Brendan Case、Clementine Fletcher、Andrew Zajac.