金融からダイビング、バークレイズ千綿氏転身-部門整備終え

金融業界からダイビング業界に転身 --。英銀バークレイズのマネジング・ディレクターで日本株式調査部 長の千綿甲一郎氏が退社した。旧リーマン・ブラザーズの調査部門を中 心に立ち上げたチームの体制が整ったとし、30年近く携わった金融業界 を離れ、ダイビング事業を始める。

千綿部長(54)は、バークレイズ証券を1月31日付で辞めた。投資 家らに辞職についての電子メールを同30日付で送った。後任には、住宅 を現在担当している橋本隆アナリストが就く予定。バークレイズの成松 恭多広報部長も、千綿氏の退社について確認した。

野村証券に1984年に入社した千綿氏は、シティグループなどを経て リーマンの株式調査本部長に就任。2008年のリーマン破たん後にアナリ ストを率いてバークレイズに移籍し、4年余りで日本株の調査部門を整 備、再構築した。

ブルームバーグ・ニュースの電話取材に対し千綿氏は、「チームが 顧客から最高の評価の1社として認識され、セールス部門とも最高のパ ートナーシップを築くことができた」と述べた。その上で、「この先さ らなる飛躍を遂げるための準備はできた」とも強調した。

バークレイズでは、日本を含むアジアの投資銀行部門で15%以上の 人員を削減する計画が先週明らかになっている。千綿氏はこれと自身の 退職との関連性を否定したうえで、今が後任に託すベストのタイミング だったと述べた。

石垣島でダイビング事業

金融界から離れる千綿氏は、知人のダイバーらと沖縄県の石垣島で ダイビングショップを立ち上げる。プライム・スクーバ石垣という会社 を設立して代表取締役に就いた。3月中に開業する意向で、すでに3 月16日に最初の顧客の予約が入っている。

インストラクターや国家資格である潜水士の資格を千綿氏自身も既 に取得済みで、ダイビングを「生涯の趣味の1つ」と位置付けて関わっ ていく考えだ。ダイビングクルーザーを購入し、石垣市内に店舗物件も めどを付けた。

事業としてのダイビングについては、大きく成長していく分野では ないとしながらも、「環境保護意識が高まるにつれて注目され、また注 目されるべきビジネスだ」とし、知人と意気投合。ダイビング経験は5 年ほどで、「人材の育成や夢を持ってきてもらう、レポートは書かない が目的意識とビジョンを持って仕事をしていく意味ではアナリストと全 く同じだ」と強調した。

11年1月に仕事上の競争相手で、顧客でもある50歳代の友人をがん で失った。75歳まで生きたとしてあと20年、半分は活動的でなくなった とするとあと10年で、千綿氏は、「最後に何かができるんならそこしか ないと、小さいことでも本当に信じたこと、やってみたいことに力を注 ぐのを子ども達にも見せておきたい」と述べた。

また昨年倒れた千綿氏の父親は、言葉は話せず自分で歩くこともで きないが「家族で一緒にダイビングをした際のビデオを見せると、認識 して笑ったりもできる」とも語った。