野村HD、投資銀行ビジネス立て直し「パイプライン」に期待

野村ホールディングスが31日発表し た2012年10-12月(第3四半期)決算は、投資事業での譲渡益などが下 支えし、前年同期比で1割の増益を確保した。今後は株式市況が回復期 調を示す中、企業による資金調達案件の引き受けなど投資銀行ビジネス の立て直しに意欲を見せる。

第3四半期の連結純利益は13%増の201億円だった。インサイダー 問題の影響が残り、投資銀行業務手数料は24%減の130億円となった。 引き受けは株式で19%減の34億円、債券で67%減の15億円、M&A助言 も16%減の63億円と主要3分野で減少。純利益はブルームバーグ・ニュ ースが集計したアナリスト8人の予想平均の310億円を下回った。

野村HDの中川順子CFOは決算会見で不振の投資銀行業務につい て、「株式相場のみならず日本全体が良くなっている。今回は結果を示 せていないが、日本を中心に経済環境全体が回復を見せる中、パイプラ インは非常に期待できると思う」と述べ、日本企業が成長に向けビジネ ス機会を模索する中、同業務で積極的に関わっていきたいと語った。

第3四半期の収益合計は同4.7%減の4590億円だった。投資銀行手 数料が減少する中、委託・投信募集手数料は13%増の837億円、アセッ トマネジメント業務手数料は4.8%増の350億円、トレーディング益 は10%増の882億円となった。プライベートエクイティ(PE)関連投 資損益は66%減の116億円だった。

1日の野村HDの株価は一時前日比3.6%下落し、午前終値は14円 (2.7%)安の512円となっている。

余波

第3四半期の国内株式市場は安倍晋三政権の経済政策への期待か ら11月中旬以降に好転し、委託手数料やトレーディング益の増加につな がった。東京証券取引所の資料によると、10-12月の1日当たりの株式 売買代金(第1部、2部、マザーズ合計)は約1兆3385億円と前年同期 に比べ25%増加した。同期間の日経平均株価は17%上昇した。

ただ、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「イン サイダー問題の影響がまだ残っていた。発注を控えた機関投資家や株式 や債券の引き受けで野村が外されたケースもあった」と指摘する。10 -12月の株式委託手数料はリテールが前年同期比5割増の107億円だっ たのに対し、法人向けは16%減の272億円と伸び悩んだ。

野村の第3四半期の海外拠点の税引き前損益は、米州が16億円の黒 字(前年同期は10億円の黒字)、欧州が4700万円の黒字(同209億円の 赤字)、アジア・オセアニアが26億円の黒字(同5億円の黒字)と全地 域で黒字を確保。合計額は43億円(同194億円の赤字)となった。野村 全体の従業員は12月末で3万4098人と1年前から2.4%減少した。

M&AやIPO案件

野村は12月に英軍住宅管理会社のアニントン・ホームズを英テラ・ ファーマに売却した。中川CFOは決算会見で、アニントンの譲渡益は 約160億円に上ったと説明した。これがなければ、全体の純利益は前年 同期比で減益となり、海外事業も黒字化できなかったことになる。

いちよしアセットの秋野氏は、今後の野村の業績について「日本は 世界の中で今一番ホットな市場。今期から来期にかけて企業の業績も良 くなりM&Aも活発化し、POやIPO案件もでてくる」と収益拡大の 可能性を示唆した。安倍政権の経済政策が実際に継続的な景気浮揚につ ながるかが鍵になる。

野村HDの吉川淳グループCOOは、31日夜の投資家向け電話会議 で、1月以降は資金調達案件の増加などに期待していると述べ、その際 は海外の投資銀行などより優位にあるとみている国内絡みで「得意技を 使ってやっていきたい」と強調した。

ブルームバーグ・データによると、10-12月の野村HDは国内の株 式関連引き受けランキングで1位と昨年同期の2位から上昇。また、 M&Aアドバイザリー業務では9位と同1位から後退した。

--取材協力:河元伸吾, 佐藤茂 Editors: 平野和, 持田譲二