原子力規制委:新たな安全基準の骨子を策定-対応策迫られる電力各社

原子力規制委員会は31日、7月に施 行される予定の原発の新たな安全基準の骨子を策定した。東京電力福島 第一原発の事故を踏まえ、重大事故が発生した場合でも冷却を続けるた めの設備の多重化や、航空機衝突によるテロ攻撃対策、地震や津波対策 などが盛り込まれた。

規制委は7月以降、この基準をもとに原発の再稼働を判断する。電 力会社は再稼働に向けて新たな基準への対応が必要になることから、追 加の投資が必要になるだけでなく、改修工事に長期を要するケースも想 定されており、電力供給確保の綱渡りが長引く可能性もある。

きょう承認された骨子では、非常用炉心冷却装置の配管などを増設 して多重化することや、放射性物質を取り除くフィルター付きの排気設 備の設置、制御室をバックアップするための第二制御室を設けることな ど重大事故が発生した際にも事態の悪化を防ぐための対策を義務付け た。また、福島第一原発の事故では電源を失ったことが炉心溶融につな がったことから、電源車やバッテリー、ガスタービン発電機など代替電 源設備を備えることも求めた。

さらに、今後起こりうる最大の津波の高さ「基準津波」を最新の知 見を用いて設定し、それに基づいた防潮堤の設計も要求した。また、防 潮堤など津波防護の施設も、原子炉圧力容器と同じ耐震安全上最も重要 な「Sクラス」に含めることを決めた。

日本エネルギー経済研究所原子力グループの村上朋子グループリー ダーは、一部の原発では敷地が狭いために新基準で義務付けられた建築 物や装置の設置が困難となるケースも想定されると指摘する。必要な設 備の場所を確保するために、既存の施設の移設が不可避となることも考 えられるため、「再稼働に大掛かりな改造工事が必要になり、再稼働評 価が始まるのが数年先になる可能性も否定できない」と話した。

緩和した活断層定義

新たな基準では「活断層」を定義するための活動時期については、 「40万年前以降」まで広げるべきとの意見が出た従来の議論からはやや 後退。約12万-13万年前の地層に活動の形跡があれば活断層の可能性が あると判断し、40万年前以降については12万-13万年前の地層がない場 合や、この時期の活動が明確には判断できない場合にのみ、この時期ま でさかのぼって評価するとした。

原子炉や防潮堤などSクラスの重要な施設は、活断層が表土に覆わ れずに露出していたり、施設の地下部分が接する地盤に露出していない 場所に設置することも求めた。露出していない深い場所に活断層の存在 が認められた場合には、建物への地震による揺れの影響を評価して安全 性を判断するとした。

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