山口副総裁:日銀は変わったとも変わらないとも言い難い-2%目標で

日本銀行の山口広秀副総裁は31日午 後、長崎市内で会見し、2%の物価目標を掲げ、それを目指して強力な 金融緩和を推進していくと表明したことについて、日銀は金融緩和によ り積極的な方向に変わったのか、という質問を受けて、「変わりました とも、変わりませんでしたとも、なかなか言いにくい」と述べた。

山口副総裁は「変化というのは何について語るのか、という問題が あると思うので、変わったのか、と言われて、変わりましたとも、変わ りませんでしたとも、なかなか言いにくいというのが率直なところ」と し、「金融緩和について思い切った前進を図った措置であると受け止め てほしい」と述べた。

午前中の講演で「従来にも増して果断な政策対応を講じていく」と 述べたことについて、記者から「従来よりも追加緩和の頻度や緩和の規 模が多くなると理解してよいか」との質問が出た。これに対し副総裁は 「果断というのが政策対応の頻度、あるいは政策対応の規模を直ちに意 味するものだとは思っていない」と表明。

さらに「2%という物価安定目標を掲げ、できるだけ早期に実現す るよう強力に金融緩和を進めていくことを宣言しているので、そうした 宣言に則してわれわれの政策対応を表現するとすれば、『これまで以上 に果断な政策対応を行っていく』という表現以外にはないと思ってい る」と述べた。

2月の再現も想定せず

また、記者から「日銀が昨年2月、物価上昇率1%を目指して、そ れが見通せるまで強力な金融緩和を推進していくと表明した際も、金融 市場で同様の期待が生まれたが、結果的にそうした期待は実現しなかっ た。今回はどうか」という質問が出た。

副総裁は「昨年2月以降のマーケットの反応が指摘されたようなこ とであることは私も十分承知しているが、私が今回申し上げたことが、 昨年2月のようなマーケットの反応を期待している、あるいは呼んでし まうことを想定している、そのようなものでは一切ない」と語った。

日銀は22日の金融政策決定会合で、実質的なゼロ金利政策と金融資 産の買い入れなどの措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続す ることを通じて、強力に金融緩和を推進すると表明した。この約束(コ ミットメント)が従来の「消費者物価指数の前年比上昇率1%が見通せ るまで強力に金融緩和を推進していく」という約束に比べ、強力なのか どうかについても質問が出た。

山口副総裁は「もともとコミットメントの強弱をどこで判断するか は難しいところがあるが、1つは長期金利のイールドカーブがある」と 指摘。「今回の決定以降、イールドカーブに大きな反動があったとは思 っていないので、基本的にはこれまでのコミットメントの強さを大きく 変わるものではない」と述べた。

従来のコミットメントより強力

その上で、①2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すること を目指して強力に金融緩和を推進する②2014年については資産買い入れ 等基金の残高を10兆円増やすよう毎月の買い入れを行う③それ以降は毎 月の買い入れ額を期限を定めず継続する-という形により、「政策の方 向感を約束している」と言明。「私自身は、この約束自体はこれまでの 約束に比べれば、やはり強いものだと思っている」と述べた。

一方で、「日本経済は長きにわたり消費者物価指数の前年割れが続 くという意味でのデフレが続いているが、ようやく私どもの見通しの中 央値で14年度0.9%というところまで来た」と指摘。「そういう状況で 2%を物価安定の目標として掲げたので、まずその実現を目指してまい 進していくということに尽きる」と語った。

物価安定目標2%を導入したことで、景気と物価を切り離し物価だ け見て追加緩和を行う可能性はあるのかという質問に対しては、「金融 政策は景気と物価の両方をしっかり見ながら、必要があれば必要な政策 を行っていくのが基本であり常道だ」と言明。「景気の状況はどうなの か、物価目標に向けて物価の動きはどうなのか、これらをバランスよく 点検しながら政策対応を図っていく」と述べた。

追加緩和めぐる講演発言は「一般論」

午前中の講演で「必要に応じてさらなる緩和を図っていくこともあ り得る」と述べたことについては、「経済・物価情勢の変化を見つつ、 必要と判断すれば追加的な金融緩和を行っていく可能性があるというこ とを、一般論として述べた」と説明した。

一方、海外の一部で日本の経済対策が通貨安競争を志向していると の批判が出ていることに対しては、「日銀としては、為替相場の円安誘 導を図ろうと考えて今回の金融緩和を行ったものではない」と反論。

さらに「為替相場が景気・物価にどのような影響を与えるかを丹念 に点検しながら政策判断を行っていく」とし、「直接的に為替相場に働 き掛けるという考え方は私どもは取っていない」と語った。

その上で「もちろん、金融緩和は間接的な効果として為替相場に影 響を及ぼし、方向感としては円安方向への影響を与えることを否定する ものではないが、いずれにしても、直接その効果を狙って金融緩和を図 っていくという考え方は一切取っていない」と重ねて述べた。

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