円がじり高、月末需給や株価にらみで対ドル90円後半

東京外国為替市場では円がじり高。 月末に絡んだ輸出企業の円買い需要が指摘されたほか、株価が下落する 局面ではリスク回避の連想から円高圧力がかかった。

ドル・円相場は1ドル=91円後半から一時90円75銭まで円買いが進 行。前日の海外市場では91円41銭を付け、2010年6月以来のドル高・円 安水準を更新したが、その後は円が下げ渋る展開となっている。

シティバンク銀行個人金融部門の尾河眞樹シニアFXマーケットア ナリストは、「きょうはあまりぱっとしない相場で、米雇用統計待ちと いう感じだ」と指摘。ドル・円も「特に91円台が重いという感じもな い」と言い、注目は「あすの米雇用統計がどう出るかだ」と話した。

ユーロ・円相場も海外時間に1ユーロ=123円86銭と10年5月以来 のユーロ高・円安水準を付けたが、この日の東京市場では円がじり高と なり、午後には一時122円99銭を付けた。

一方、ユーロ・ドル相場は午後に1ユーロ=1.3584ドルまでユーロ が買われる場面が見られたが、海外時間に付けた約1年2カ月ぶりのユ ーロ高・ドル安水準(1.3587ドル)には届かなかった。欧州市場にかけ ては、独小売売上高の下振れなどを手掛かりに1.35ドル半ばへ水準を切 り下げる展開となった。

金融政策への期待

日本銀行の山口広秀副総裁は長崎市内で記者会見し、2%の物価目 標について、できるだけ早期に実現を目指すと述べた。また、金融政策 について、直接為替相場に働き掛ける考えは取らないとする一方、金融 緩和が間接的に円安につながることは否定しないと話した。

経済産業省がこの日発表した昨年12月の鉱工業生産指数は前月 比2.5%上昇と2カ月ぶりの上昇となったが、事前予想(4.1%上昇)は 下回った。

先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関・加重通貨指数に よると、円は年初来、約5%下落。過去3カ月では約14%安となってい る。

みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケット・エコノ ミストは、「金利面や貿易赤字、欧米経済が落ち着いているといったよ うなファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)からすれば、明らかに 円安は行き過ぎだ」としながらも、「今の政権は円高に行ったら円安に するだけという勢いで、円安を予想せざるを得ない」と話した。

安倍晋三首相は衆院本会議で、日銀法改正について、将来の選択肢 の一つとして視野にあると述べた。物価目標が達成できない場合に日銀 総裁に責任を持たせるため、日銀法を改正すべきだとのみんなの党の渡 辺嘉美代表の代表質問に答弁した。

31日の東京株式相場は3日続伸。ただ、朝方から方向感に乏しい展 開に終始し、売りが優勢となる場面も見られた。

米雇用統計

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によると、 2月1日発表の1月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比16 万5000人増加したと予想されている。昨年12月は15万5000人増だった。 また、1月の失業率は7.8%と昨年11、12月から横ばいが見込まれてい る。

米連邦準備制度理事会(FRB)は29、30日に開催したFOMC終 了後に声明を発表し、「労働市場の見通しが大幅に改善しない場合」、 物価が安定した状態で状況が改善するまで米財務省証券と住宅ローン担 保証券の購入を継続すると表明した。さらに、失業率が6.5%を上回 り、向こう1-2年のインフレ率予測値が2%を0.5ポイント超えて上 回らない限り異例な低金利を継続するとした。

シティバンク銀の尾河氏は、「きのうの米GDP(国内総生産)も 中身を見れば決して悪い数字ではない」と言い、あすの雇用統計で強め の数字が出れば、「ドルが再び買われていく可能性もある」と話した。

また、バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨ ーク在勤)は、雇用統計が非常に弱い数字となり、追加緩和の思惑が高 まれば、ドル・円には「多少利食い」が入る可能性はあるものの、日銀 行の金融政策への期待が根強く、ドル・円が「下がったところは買い だ」と語った。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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