円下落、対ドル一時91円台-アジア株高がリスク選好の円売り

東京外国為替市場では円が下落し、 対ドルでは一時1ドル=91円台に水準を切り下げた。欧州債務危機をめ ぐる懸念の緩和や米景気の回復期待を背景にリスク選好の動きが意識さ れる中、アジア株の上昇が円売りを後押しする格好となった。

ドル・円相場は正午すぎに一時91円03銭を付け、午後3時45分現在 は90円90銭付近で推移。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=122円83銭 と、2営業日ぶりの水準まで円安が進み、同時刻現在は122円59銭付近 で取引されている。アジアの株式相場は、日経平均株価が終値で2010年 4月以来の1万1000円台を回復するなどほぼ全面高となった。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、欧州を中 心に全体的に「リスクオフ(回避)になるような材料がない」という状 況下で、内外の株価上昇を背景に、リスクオン(選好)ムードが広がっ ていると説明。この日の東京市場では、日経平均の上昇に後押しされ て、ドル高・円安圧力がかかったとしている。

安倍晋三首相はこの日、衆院本会議での答弁で、経済・財政運営に ついて「強い経済の再生を図りながら財政再建を進めることが極めて重 要だ」と指摘。今後、経済財政諮問会議で具体的な道筋について検討を 進める方針も強調した。

欧米ムード好転

29日に発表された米経済指標は1月の消費者信頼感指数が前月から 低下し、過去1年余りで最低の水準に落ち込んだ一方、昨年11月の全 米20都市の住宅価格は前年同月比で約6年ぶりの高い伸びとなった

この日の米国時間には、連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開 市場委員会(FOMC)の結果を発表する。三菱UFJモルガン・スタ ンレー証券の植野大作シニア為替・債券ストラテジストは、出口に関す る議論が進んでいればドル買いとなるが、「現下の局面で声明に書き込 まれるまで議論が進むかは微妙だ」と指摘。「基本的には無風通過にな る可能性が高い」とみている。

また、米国ではこの日、昨年10-12月期の国内総生産(GDP)統 計のほか、給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュ ートが給与名簿に基づいて集計した1月の米民間部門雇用が発表され る。

一方、イタリア政府が29日に行った入札では、平均落札利回りが10 年3月26日以来の低水準に落ち着いた。同日の欧州債市場では、伊2年 国債利回りが5営業日ぶりに低下。同10年債利回りも低下した。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.3497ドル と、2011年12月2日以来の水準まで上昇。この日の東京市場では1.34ド ル台後半を維持した。

三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットトレジ ャリーチーム調査役、藤田善嗣氏(ニューヨーク在勤)は、「欧州危機 が収束に向かっているというのは一つ大きな材料だ」と指摘。さらに、 米国でも住宅や雇用市場の底打ちなど、徐々にだが経済が回復し、グロ ーバル経済の回復期待が高まっているとし、「危機が平常な状態に戻り つつある」ことから、リスクオンの流れになっていると説明している。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 山中英典

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