円が10年6月来安値、円安容認発言受けた売り継続-90円後半

東京外国為替市場では、円が対ドル で2年7カ月ぶり安値を更新。一段の円安を容認する日本政府高官発言 をきっかけに、円売りが再燃した前日の流れが続いた。

午後4時現在のドル・円相場は1ドル=90円55銭前後。朝方には一 時90円69銭を付け、前日に続き2010年6月以来の安値を塗り替えた。

通貨・金利リスク管理を手掛けるロックフォード・キャピタルのマ ネジングディレクター、トーマス・アバリル氏(シドニー在勤)は、 「マーケットは今、円を売るあらゆる口実を探している」と指摘。「円 安の動きはまだまだ続く。円買いを正当化するファンダメンタルズ(経 済の基礎的諸条件)を探すのは非常に難しい」と話した。

ユーロ・円相場も一時1ユーロ=121円31銭を付け、11年4月以来 の円安値を更新。株高を背景にリスク選好の高まりが意識される中、円 は主要通貨に対して軟調な展開が続いた。ユーロ・ドル相場は1ユーロ =1.33ドル後半から半ばでのもみ合いとなった。

西村康稔内閣府副大臣は24日、浜田宏一内閣官房参与(エール大学 名誉教授)が1ドル=100円でも問題ないとの見解を示していることに ついて「私自身の認識も共通している」とブルームバーグ・ニュースの インタビューで語った。西村氏は経済再生、経済財政政策などを担当し 安倍晋三政権の経済政策立案に関わっている。

為替操作批判に反論

一方、麻生太郎財務相は25日の閣議後の記者会見で、ドイツのメル ケル首相が日本の金融政策に関して為替操作との観点から懸念を示した ことを受け、「金融緩和は日本がデフレから脱却することが目的だ。為 替操作という批判は全く当たらない」と反論した。

メルケル首相は前日、スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラ ム(WEF)年次総会で、市場シェアを伸ばすために為替相場を操作す る国について懸念しているかとの問いに「今の日本を見ていて全く懸念 を感じないとは言えない」と述べていた。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、海外の批判に対し て、日本の政治サイドは、貿易赤字といったファンダメンタルズ(経済 の基礎的諸条件)的な需給面での裏付けを背景に、行き過ぎた円高の修 正だとの説明を繰り返しており、円売りの動きが付いていきやすいと指 摘。加えて、「CPI(消費者物価指数)でデフレ傾向がはっきり示さ れたことで追加緩和期待」が生じやすく、もう一段円売りの流れをどこ まで進むかを試す状況になっていると説明した。

25日の東京株式相場は大幅高となり、日経平均株価の終値での上げ 幅は300円を超えた。TOPIXは週間ベースで40年ぶりの11週続伸と なった。

デフレ

総務省が発表した昨年12月の全国の生鮮食品を除くコアCPIは前 年同月比0.2%低下し、2カ月連続のマイナスとなった。

資産家で投資家のジョージ・ソロス氏はWEF年次総会で、円相場 の動きは日本銀行の政策が「本物」であることに起因しているとの見方 を示す一方、日本の当局が円相場をどこまで押し下げることができるか は、米国がどの程度まで容認する意向であるかによって制限されるだろ うと語った。

三菱東京UFJ銀行の武田紀久子シニアアナリスト(ロンドン在 勤)は、今週の日銀会合後の調整は浅かったという印象で、「先行きの 円売り安心感のようなものが相当強く浸透している」と指摘。一方で、 海外からのけん制も入り始めており、「円安の進行ペースはこの先相当 スローになっていくとみておくべきだ」と話した。

--取材協力:大塚美佳、三浦和美、Mariko Ishikawa、Kristine Aquino. Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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