円売り加速、対ドル89円台前半に下落-西村氏の発言が後押し

東京外国為替市場では、午後の取引 で円売りが加速。対ドルでは1ドル=89円台前半に水準を切り下げた。 中国経済指標の好調や北朝鮮発の地政学的リスクを背景に円売りが先行 する中、西村康稔内閣府副大臣の発言が伝わると、円は一段安の展開と なった。

朝方に一時88円42銭まで円高に振れていたドル・円相場は午前の取 引で中国の指標好調を背景にいったん88円台後半まで円が下落。地政学 的リスクが円売り要因として加わり、午後には89円台前半まで円安が進 み、西村氏の発言を受けて、2日ぶりの水準となる89円46銭を付けた。 午後4時20分現在は89円37銭付近で取引されている。円は対ユーロでも 売られ、一時1ユーロ=119円29銭と、2日ぶりの安値を付けている。

外為どっとコム総合研究所の川畑琢也研究員は、目先的には「円売 り要因がそろっている」とし、午後の円安値を付けたタイミングでは、 西村氏の発言が「直接のきっかけになった」と指摘。その上で、90円付 近では円高修正が進んだとは言えないとの認識が示されており、大々的 には言わないにしても、少なくとも90円以上のドル高・円安をみている ということだとしている。

西村氏は24日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、浜田 宏一内閣官房参与が1ドル=100円でも問題ないとの見解を示している ことについて「私自身の認識も共通している」と発言。「今の90円前後 のレベルで円高修正は進んだかと言われると、まだ終わっていないとい う認識だ」と語った。

リスク選好と地政学的リスク

この日の東京市場では、中国の中国製造業購買担当者指数 (PMI)好調を背景としたリスク選好の動きと、北朝鮮の核実験警告 を受けたアジアの地政学的リスクといった円安要因が入り混じる格好と なった。

中国の指標結果を受け、上海総合指数が昨年6月以来の高値を付け る場面もあったが、その後は下落に転じ、下げ幅を拡大。韓国や台湾の 株価指数も下落した。クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司 ディレクターは、中国の指標など「複合的な要因」で円売りが加速した と指摘。北朝鮮発の地政学的リスクが意識されると、「アジア売り」の 様相となり、円売りが後押しされたと説明している。

一方、朝方に発表された日本の貿易統計によると、昨年12月の貿易 収支は6カ月連続の赤字となった。赤字額は6415億円と、ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想の5228億円を上回った。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、海外市場では、中尾武彦財務官の発言などで円売り安心 感が広がり、円安に振れる局面が見られたと指摘。その上で、日本は 「貿易赤字なので通貨安になること自体は自然」とし、最新の貿易統計 は「海外から批判を受ける筋合いはないということを確認する内容にな った」と説明している。

財務省の中尾財務官は23日、ブルームバーグ・ニュースのインタビ ューで、安倍晋三政権下での金融政策はデフレからの早期脱却を目指し ており、「通貨安競争」につながるとした海外からの一部批判は当たら ないとの認識を示した。為替相場については行き過ぎた円高の修正局面 にあるとする一方で、やや円高に振れている足元の市場動向を注視する 方針を強調した。

また、ドイツ財務省のコットハウス報道官は23日、ベルリンで記者 団に対し、日本が円の競争的な切り下げに向かっているという懸念は現 在抱いていないとした上で、ユーロ・円相場の現行水準は過去数年間の レンジ内だとの認識を示した。ただ、日本の量的緩和については、ショ イブレ財務相が依然として懸念していると言う。

--取材協力:. Editors: 崎浜秀磨, 青木 勝

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