中尾財務官:通貨安競争との批判当たらず-安倍政権の金融政策

財務省の中尾武彦財務官は23日、安 倍晋三政権下での金融政策はデフレからの早期脱却を目指しており、 「通貨安競争」につながるとした海外からの一部批判は当たらないとの 認識を示した。為替相場については行き過ぎた円高の修正局面にあると する一方で、やや円高に振れている足元の市場動向を注視する方針を強 調した。ブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。

財務官は「G20(20カ国・地域)でも競争的切り下げや貿易の保護 主義は回避するということで合意してきているし、我々もその合意にコ ミットしている」と指摘。政府・日銀の連携強化の下での日本の金融政 策は「あくまでもデフレからの早期脱却を目指したものであり、競争的 切り下げという批判は当たらない。各国は自国の経済成長や価格安定を 目指して金融政策を行っている」と強調した。

その上で、「G7(主要7カ国)では市場で決定される為替レート を支持することが確認されており、各国が国内経済の成長や価格の安定 のため行う金融政策が結果として為替レートに影響を及ぼすとしても問 題とされるべきではないと理解している」と述べた。

来月中旬にはモスクワでG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれ る。「G20のモスクワ会合は麻生太郎財務相にとって最初のG20。機動 的な財政政策、大胆な金融政策、民間投資を刺激する成長戦略の3つの 柱からなる新政権の経済政策をきちっと説明する良い機会だ」と財務官 は指摘。自らも「各国当局者には安倍政権の政策全体についてよく説明 してきているし、今後もする」と述べ、各国に理解を求める考えだ。

足元では円安一服

円相場は、安倍政権の経済政策への期待感の高まりも背景に過去2 カ月間で対ドルで約6.5%下落した。財務官は「為替の水準にコメント することは差し控えたい」としながらも、「最近の円安に向けた為替の 動きは昨年までの一方的な円高の動きが修正されつつある局面にあると 考えている」と言明。世界経済のリスク要因の緩和に加えて、貿易収支 の赤字基調や昨年11月の経常収支の赤字など、日本経済のファンダメン タルズ(基礎的諸条件)の潮目の変化も背景にあると説明した。

一方で、23日の東京外国為替市場では2%の物価目標の早期達成に 対する懐疑的な見方もくすぶり、円が対ドルで一時88円06銭まで上昇 し、1週間ぶりの高値をつけた。24日朝は88円台半ばで推移している。 財務官は足元での円反転の兆しも踏まえ、「今後の方針として為替市場 の動向については引き続きよく注視し、適切に対応していくという方針 に全く変わりはない」と述べた。

昨年12月に発足した安倍政権は長引く円高・デフレ不況からの脱却 を最優先課題に掲げ、11日に国費10兆円規模の緊急経済対策を策定し、 これに伴う今年度補正予算案を編成。22日には2%の物価安定目標をで きるだけ早期に実現する方針を盛り込んだ政府・日銀の共同声明を発表 した。これに合わせて日銀は2014年初から期限を定めず、毎月一定額の 金融資産を買い入れる追加緩和策を決定した。

海外から懸念の声

これに対し、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ドイ ツ連邦銀行のバイトマン総裁が21日、「新政権が中央銀行の職務に干渉 した結果として為替レートが政治問題化しかねない」と指摘。韓国の朴 宰完企画財政相も23日、日本の刺激策は同国にとって長期的にはコスト を伴う可能性があるとし、G20で日本の政策について議論し、量的緩和 策への対応策を準備する求める構えを示した。

また、読売新聞によるとIMFのラガルド専務理事は18日、緊急経 済対策について短期の経済成長を創出すると評価しながらも、中長期の 財政再建策が伴っていないことへの懸念を示した。財務官はこれに対 し、「日本のように債務の対GDP比率が大きい国では中長期的な財政 再建が非常に重要であることは十分認識している」と表明。

さらに、政府・日銀の共同声明に持続可能な財政構造の確立のため の取り組みが明記されたことや、来年度予算編成の基本方針にも2020年 度までの国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化 などの財政健全化目標の実現が盛り込まれていることを強調した。

共同声明では、日銀による金融緩和の推進だけでなく、研究開発へ の集中投資や規制・制度改革などの政策を総動員し、日本経済の競争力 と成長力の強化を推進するよう政府側にも責任を求めている。財務官は 「成長戦略については今後、日本経済再生本部のもとで取り組みを具体 化し、強力に推進していく」との見通しを示した。

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