円が対ドル1週ぶり高値、日銀会合通過-物価目標の早期達成に懐疑的

東京外国為替市場では円が対ドルで 続伸し、1週間ぶり高値を付けた。日本銀行の金融政策決定会合を通過 し、材料出尽くし感が広がる中、2%の物価目標の早期達成に対する懐 疑的な見方もくすぶり、円は午後に一段高となった。

この日のドル・円相場は、おおむね1ドル=88円後半で推移してい たが、午後には前日に付けた円高値(88円37銭)を突破し、一時88円06 銭まで円高が進行した。ユーロ・円相場も1ユーロ=118円前半から一 時4営業日ぶりの水準となる117円06銭まで円買いが進んだ。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラ テジストは、金融緩和に対する期待先行でドル・円も株も上がってしま っていたため、「目先はスピード調整が強まる」と予想。ただ、「これ で円売り局面が終わったわけではなく、一大イベント通過で一服したと いう程度」と言い、今後も金融緩和への期待が出やすいため、どんどん 円高が進む地合いではないと話した。

23日の東京株式相場は3日続落。日経平均株価は1万500円を割り 込み、昨年12月28日以来の安値で終えた。

一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.33ドル前半でのもみ合いが 続いたが、欧州市場に向けては1.33ドル台を割り込む展開となってい る。

2%の物価目標

日銀は22日の金融政策決定会合で、物価上昇率の目標として消費者 物価指数(CPI)の前年比上昇率2%を明示することを決定。これを できるだけ早期に実現することを目指すと表明した。また、資産買い入 れ等基金について、現行方式での買い入れが完了した後、2014年初から 期限を定めず毎月一定額の金融資産を買い入れる方式を導入することを 決めた。

日銀の決定発表後、外国為替市場では円売りが強まり、対ドルで は90円13銭まで円安が進行。しかし、無期限の資産買い入れが14年から となったことなどが失望を呼び、その後は一転して円が買われる展開と なった。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、日銀のインフレ見通しは前回の展望リポートからわ ずかな上方修正にとどまっており、「今回のインフレターゲット導入と オープンエンド(無期限)の資産買い入れをもってしても、そんなにイ ンフレにならないということを日銀自体がみているということだ」と指 摘。「これからどんどんインフレ期待を高めて円を売るのは難しい」と し、当面は積み上がった円売り持ち高の巻き戻し圧力がかかりやすいと 話した。

日銀は22日の会合で、昨年10月末の経済・物価情勢の展望(展望リ ポート)の中間評価を行った。CPI(生鮮食品を除くコア指数)の前 年比上昇率については、13年度を0.4%に据え置く一方、14年度は消費 税率引き上げの影響を除いて0.9%と従来の0.8%から引き上げた。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれ ば、25日発表の12月の全国CPI(コア指数)は前年比0.2%低下が見 込まれている。

一方、棚瀬氏は、「最終的にアベノミクスで日本がデフレ脱却して いくという期待はなくなったわけではない」とも指摘。これまで調整な くドル高・円安が進んできたため、ドルを買い遅れている面もあるとい い、「それほど大きな調整にはならない」と語った。

円押し下げ政策に批判

安倍晋三首相は23日午前、官邸で開いた関係閣僚と企業経営者、有 識者で構成する産業競争力会議(議長・安倍首相)の初会合で、強い経 済を回復させることが政権の使命と強調し、「デフレから脱却をして行 き過ぎた円高を是正し、日本を力強い成長軌道に乗せていくことだ」と 成長戦略の実行に決意を示した。

独与党キリスト教民主同盟(CDU)の幹部、ミヒャエル・マイス ター議員は22日、円相場を押し下げようとする日本政府の行動は他の20 カ国・地域(G20)メンバーからの報復を呼び、脆弱(ぜいじゃく)な 景気回復を損なうリスクがあると警告した。

また、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のチーフエコノミス ト、アレクサンダー・シューマン氏は、スイスのダボスで開かれる世界 経済フォーラム(WEF)年次総会で日本の政策について話し合われる だろうと述べた。日本銀行が政府に押されて無制限に日本国債を購入す るような決定は「危険がいっぱいの火薬箱」のようなものだと警鐘を鳴 らした。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、「日本の円 安誘導とも捉えられる金融政策に対する批判の声が日に日に高まってき ているため、今後はその辺を日本政府もやや意識しながら、コメントの トーンを少し変えてくるということも予想される」と指摘。このため、 ドル・円は内外の要人発言に振らされながら「割と値幅のあるもみ合い になる可能性もある」と話した。

--取材協力:大塚美佳, 三浦和美. Editor: 崎浜秀磨,青木勝

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE