【クレジット市場】オリックスが長期債での資金調達を重視

オリックスは今後の資金調達で年限 7年、10年など長期債の発行を重視する方針だ。安倍晋三首相が唱える 経済政策、いわゆるアベノミクスによる金融緩和の継続を背景に、収益 力や信用力の回復期待などから長期債発行のコストが低下が見込めると みているからだ。

オリックスの浦田晴之副社長兼最高財務責任者(CFO)は、イン タビューで昨年の11月中旬以降、「投資家の関心が新政権による金融緩 和などの政策に向かった」とし、景気回復期待などで中小企業向け融資 や不動産事業を手掛ける同社の信用力も「急回復した」と分析。その上 で長期債発行は来年度、「より積極的にやる」と述べた。

BOAメリルリンチによれば、オリックスを含む新発債利回りの参 考となる日本企業の5-7年債流通利回りは1月18日現在で0.75%と、 安倍氏がデフレ脱却への強い決意を表明した前日の昨年11月14日時点か ら12bp低下。過去10年の日本社債の平均利回り(1.18%)や同月17日 の米企業の社債利回り(2.44%)より低い水準にある。

日本企業の間では、長期債により資金を調達する動きが広がってい る。富士フイルムホールディングスと東燃ゼネラル石油は昨年12月、7 年・10年債をそれぞれ計700億円、計200億円発行した。ブルームバー グ・データによると、11月中旬以降に発行された円建て社債の加重平均 年限は6.5年と、それ以前の2カ月の同5.8年より長くなっている。

スプレッド縮小へ

CMAによると、オリックスの信用力を示すCDSの保証料率は、 野田佳彦前首相の解散発言のあった11月中旬の約164bp(1bp =0.01%)から11月末で115bpと急速に縮小。1月18日も120bpとリ ーマンショック後の最低水準を維持。日本企業全体の信用力を示すマー クイットiTraxx日本指数より改善率が大きい。

メリルリンチ日本証券の上田祐介リサーチアナリストはオリックス 債のスプレッド(国債利回りへの上乗せ幅)について、「金融政策との 連動性が高く、1年ほどはじりじりタイト化する」と予想。その上で、 「調達環境のよい今、長めの起債をしておくことで、財務の安定を図る 戦略は理解できる」と評価した。

ブルームバーグ・データによると、オリックスの社債発行残高は3 -5年債を中心に約1兆3850億円ある。平均残存期間は2.5年、表面利 率は1.9%。7年以上の長期債は毎年100億円規模を発行しているが、残 高は約1100億円と全体の14分の1程度にとどまっている。

社債投資家の需要も喚起

オリックスの浦田氏は、「長めの資金が必要な環境エネルギー事業 などに力を入れ始めているほか、期間多様化によるリスク管理もあり、 長期資金の調達がより重要になっている」と述べた。同社では社債発行 条件の基準となる市場金利が低水準にあり、信用力も改善してスプレッ ドが縮小し、資金調達コストが低いタイミングでの起債を狙う。

浦田氏は2013年度の起債計画について、国内では償還額と同水準 の2000億円前後、海外では米ドル債5億-10億ドル(約900億円)を念 頭に置いていると表明。香港、タイ、マレーシアなどの現地通貨建て債 発行も数十億円規模で検討するという。ただ、日本国内での年限7年以 上の長期債の具体的な発行予定額には言及しなかった。

メリルリンチの上田氏はアベノミクスの社債市場での効果について 金融緩和による日銀からの大量の資金供給が、社債投資家の需要を喚起 するなど「間違いなく債券発行にプラスとなる」と指摘する。オリック ス債に関しては、「比較的利回りが高く、発行額も多い。運用先を探す 地銀などにとって貴重な銘柄だ」との見方を示した。

--取材協力:Yusuke Miyazawa. Editors: 平野和, 持田譲二

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