【日本株週間展望】期待一巡し調整含み、日銀決断後は決算にらみに

1月4週(21-25日)の日本株は、 円安進行や国内政策に対する期待相場がひとまず一巡し、調整含みとな りそうだ。安倍政権発足後、初の金融政策決定会合を開く日本銀行は、 政府意向に沿う形で物価上昇率目標を明示すると市場で見られている が、具現策をどこまで盛り込めるのか、不透明な部分は残る。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長の藤戸則弘氏 は、「金融需給相場でファンダメンタルズよりも要人発言などが重視さ れるが、発言内容にナーバスになるなど年末年始のような一方的な円 安・株高は変容しつつある」と言う。日銀会合は「2%をどうすれば達 成できるか、アプローチが重要。いかに日銀が変わったかを示す必要が あり、従来の延長線上なら材料出尽くしになる」と読む。

第3週の日経平均株価は週間で1%高の1万913円と、1987年4月 以来となる10週続伸。週初に一時1万952円と2年9カ月ぶりの高値水 準を付けた後、政府・自民党要人の発言などを材料に円安の勢いが鈍る と、16日には一時287円安と安倍政権誕生の期待、評価で上昇してきた 昨年11月中旬以降の相場で最大の調整を演じた。

甘利明経済再生相は15日の閣議後会見で、「過度な円安になれば、 今度は輸入物価に跳ね返ってくる。国民生活にマイナスの影響も出てく る」と発言。これが響き、ドル・円は89円台から87円台まで円高が進 み、株式市場でも「評価益を実現益に変える動きが出た」と三菱Uモル ガンの藤戸氏は言う。ただ、日銀決断への強い期待や米国経済統計の改 善、スペイン国債の入札順調などから17日には再度円安が加速、10年6 月以来の90円に乗せ、18日の取引で日経平均は303円高と急伸した。

日銀会合の焦点3つ

日銀は21、22の両日に金融政策決定会合を開く。市場の焦点は、 「追加金融緩和の有無」「物価目標の導入」「政府と日銀のアコード (協定)締結」の3点だ。バークレイズ証券では追加緩和について、 長・短国債の買い入れ枠を計10兆円増やし、資産買い入れ等基金の101 兆円から111兆円への拡大をメインシナリオに据え、サブシナリオとし てオープンエンド型国債買い入れオペの新設の可能性にも触れた。

一方、安倍首相が強硬に求める2%の物価上昇率目標の明示に関 し、同証チーフエコノミストの森田京平氏は実現にかなり高いハードル が待ち受けており、「導入は簡単だが、市場の期待をいかにつなぎ止め るかこそが問われる。『アコード』に何が書かれるかに注目したい」と した。ブルームバーグが日銀ウオッチャー13人を対象にした調査では、 全員が2%の物価目標の設定と資産買い入れ等基金の増額を予想する。

米ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長のジム・ オニール氏は、昨年11月中旬に円安見通しを示し、その後の為替動向、 日本株高につながる流れを演出した1人。その同氏は現在、円が一段と 下落するには、日本銀行が「2%というインフレ目標に真剣に取り組む ことを示さなければならない。ただのゴールではなく、ターゲットとし なければならない」と述べている。

円先物売り越しは縮小中

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、国際通貨市場での円 の売り越し幅は8日時点で7万4096枚と、昨年12月に07年以来の9万枚 台を記録した後は4週連続で縮小。1ドル=90円に乗せたものの、需給 データ面からは円安の勢いに変化が出ている。

SMBC日興証券のチーフエコノミスト、牧野潤一氏は主要先進国 通貨で下げているのが円だけという状況に、円安は「かなり投機的な色 彩が強い」と指摘。背景には安倍政権への政策期待があるが、「集中的 な円ショート(売り)はごく少数の大手投資銀行が手掛けているとの話 もあり、先行きには注意が必要」とした。ドイツ証券の為替ストラテジ スト、田中泰輔氏も「当座90円台を見ても、85-90円をコアレンジとす るポジショニング」を顧客に推奨。90円台を加速するラリーは、「米国 の寛容の限度に触れる恐れ」に言及する。

円高、日中関係悪化などによる企業業績の悪化懸念で、日経平均 が8500円割れの直近底値を付けたのは昨年10月。翌11月中旬の衆院解散 で加速した上昇相場は既に3カ月が経過した。今年度補正予算を審議す る通常国会も月末に開会、日銀次期総裁の人事決定まで政治日程もやや 手薄になり、市場参加者も期待から現実に目を向けやすくなる。騰落レ シオなどテクニカル指標が引き続き過熱圏にある中、相場全体はやや足 踏みする展開となりそうだ。

「日の出」に海外勢が期待

一方で、株式売買代金の6割を占める海外投資家を中心に日本の政 治、経済「カイゼン」への期待値はなお高く、調整幅も限定的とみられ る。米BOAメリルリンチの1月の世界ファンドマネジャー調査によれ ば、日本株の配分状況を示すネットバランスがプラス3%(オーバーウ エートからアンダーウエートを引く)と、前月のマイナス20%から大き く改善。オーバーウエートは1年半ぶりのことだ。

米モルガン・スタンレー、グローバル・エコノミクスチームヘッド のヨアヒム・フェルズ氏は、世界経済は当分の間、景気後退と回復の境 目とも言える「トワイライト・ゾーン」にはまった状態が続くとみる半 面、日本は安倍政権の大型補正予算、日銀の積極緩和に動く可能性の高 さから「『トワイライト・ゾーン』を抜け出し、『日の出』を迎えるの にそう長くはかからないかもしれない」との認識だ。

みずほ証券リサーチ&コンサルティングが算出する東証1部企業の 業績モメンタムを計るリビジョン・インデックスは、昨年12月にマイナ ス2.1%と11月のマイナス10.7%から改善。特に景気敏感セクターで、 業績の下方修正が顕著だった素材関連が12月に3.4%と半年ぶりにプラ スに転じた。輸出関連などが多く、円安メリット企業が含まれる製造業 のモメンタム回復が顕著になっている。

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