円が対ドルで2年7カ月ぶり安値更新、日銀緩和強化観測

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が約2年7カ月ぶりの円安値を更新した。日本銀行が政府と連携して デフレ脱却に向けて金融緩和を強化するとの観測を背景に円売り圧力が 強まった。

ドル・円相場は午後の取引で一時1ドル=90円21銭と、2010年6 月23日以来の水準まで円安が進行。その後はやや円売りの勢いは鈍り、 午後3時35分現在は90円04銭付近で取引されている。円は対ユーロでも 売られ、一時は1ユーロ=120円71銭と、11年5月4日以来の安値を付 けた。同時刻現在は120円50銭付近で取引されている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「政府と日銀が 一緒になってデフレから脱却をする強い姿勢を見せたということが市場 で評価されている」と説明。加えて米国の経済指標が良好で、今後発表 される指標内容次第ではドル買いの動きも見込まれると言い、海外で一 段のドル高・円安もあり得るとみている。

麻生太郎副総理兼財務相と甘利明経済再生担当相、日本銀行の白川 方明総裁は18日午前、政府と日銀が合意を目指している、金融政策に関 する共同文書について都内のホテルで会談を行った。麻生財務相は終了 後の記者会見で、会談内容に関して言及を避けたが、政府・日銀の連帯 強化の仕組みについて検討していると述べた上で、双方のすり合わせは 「かなり進んだ」との認識を示した。

また、甘利経済再生相も会見で、結論には至らなかったとしながら も、「建設的な話し合いができた」とし、政府が目指す方向に近づきつ つあると述べた。同再生相は、来週の日銀会合へは出席する方向で検討 しているという。

一方、内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授はこの日、日 本外国特派員協会で講演し、ドル・円相場の適切な水準について、 「100円くらいが良い水準ではないか。110円かそれ以上の円安は問題か もしれないが、95円、100円くらいなら心配いらない」と発言。午後の 取引で円売りが一時加速した背景となった。

日銀、連続緩和へ

日銀は来週21、22日に金融政策決定会合を開く。ブルームバーグが 有力日銀ウオッチャー13人を対象にした調査では、全員が2%の物価目 標の設定と、資産買い入れ等基金の増額など追加緩和が行われると予想 した。追加緩和に踏み切れば過去5カ月で4度目となり、また、2会合 連続の緩和は03年5月以来となる。

ロイター通信が関係者の話を基に伝えたところによると、日銀は来 週の会合で金融機関が日銀に預けている当座預金の超過準備に付 く0.1%の金利(付利)について、撤廃の是非を議論する可能性があ る。

三井住友銀行市場営業部ニューヨークトレーディンググループのグ ループ長、柳谷政人氏(ニューヨーク在勤は、日銀による無制限緩和の 検討や付利撤廃などの話が出ており、来週の会合を前にして「期待が大 きく剥げなかった」とし、円安の材料になったと説明。その上で、追加 緩和については、「今回だけではなく、将来にわたって期待感は残って いく」と言う。

一方で、ドル・円相場の相対力指数(RSI、期間14日)はドル 高・円安の行き過ぎの目安となる70を上回って推移。柳谷氏は、「スピ ード感に関しては随分警戒している向きが多い」と言う。

米指標好調がドル買いサポート

米国で17日に発表された経済指標は、12月の住宅着工件数(季節調 整済み、年率換算)が08年6月以来で最大の伸びとなったほか、12日終 了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、08年1月19日終了週 以来の水準に減少するなど、良好な内容が目立った。

三井住友銀の柳谷氏は、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条 件)的な材料がドル買いをサポートした」面もあるとしている。

この日の米国時間には1月のミシガン大学消費者マインド指数が発 表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では75と、前 月の72.9を上回る水準が見込まれている。

--取材協力:小宮弘子, 大塚美佳. Editors: 崎浜秀磨, 青木 勝

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