B787に日米当局が運航停止命令、電力設計に起因か

米ボーイングの最新鋭旅客機「78 7」(ドリームライナー)は、競合機と差別化を図った技術に起因する トラブルの続発で苦境に追い込まれている。

バッテリーの出火や緊急着陸といったトラブルを受けて日本の航空 会社2社が16日、世界で運航されているドリームライナーのほぼ半数に 当たる同機の運航を中止。その数時間後に米連邦航空局(FAA)はバ ッテリーの安全性が確認されるまで同型機の運航の一時停止命令を発表 した。FAAによるこうした措置は1979年の「DC-10」以来約34年ぶ り。

ボーイングの窮地の発端は、燃費向上を目指して機体設計の限界を 広げる選択を下したことにある。B787は未曽有の電力を使用してお り、その量は従来型ジェット機の5倍。搭載システムを作動させるため にエンジンから供給される電気は少量だ。ボーイングが部分的に依存す るリチウムイオン電池は素早く強力に充電できる一方で、過熱や発火の 恐れを併せ持つ。

ハドソン・クロッシングの航空アナリスト、ヘンリー・ハーテベル ト氏は一連のトラブルについて、「コーヒーメーカーの故障や機内娯楽 システムが作動しないといったマイナーな問題ではない」と述べ、「問 題の修正には高いコストと長い時間がかかる恐れがある」と指摘した。

ドリームライナーは先週、日本航空機がボストンの空港で出火した トラブルを受けて、FAAの特別調査対象となっていた。FAAの16日 の運航停止命令を受け、米航空会社で唯一同型機を保有するユナイテッ ド・コンチネンタル・ホールディングスが直ちに命令に従うと表明。日 本の国土交通省も同様の措置を取る方針を明らかにし、インドの航空当 局はエア・インディアの同型機6機の運航を停止すると発表した。 FAAによると、世界で就航する同型機は50機。

ボーイングのジム・マクナニー最高経営責任者(CEO)は開発遅 延などの影響を克服しようと納入拡大に取り組んでいただけに、今回の 運航停止命令は同社に打撃となる。ボーイングは今年、同型機の生産を 倍増して1カ月当たり10機とし、約800機の受注残に対応する方針。

マクナニーCEOは発表文で「B787は安全だと確信しており、 B787の安全性について顧客と旅客を安心させ、運航を再開するため あらゆる必要な措置を講じる」と言明した。

ボーイングの株価は16日の通常取引で3.4%安と、昨年6月以来の 大幅安を記録。時間外引ではニューヨーク時間午後6時半時点で1.9% 安の72.90ドル。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニア・ バイスプレジデント、ラッセル・ソロモン氏は顧客向けリポートで16日 の運航停止命令について、「納機予定の一段の遅れや将来の受注などを 含め、業務面と財務面でボーイングに新たな圧迫材料となる可能性があ る」と指摘した。

原題:Boeing 787 Groundings From U.S. to Japan Trace to Power Design(抜粋)

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