ECB総裁が演出した債券高、スペインの破滅のループを隠す

債券相場の上昇はスペインの借り入 れコストを10カ月ぶりの低水準に押し下げ、同国債務の増大への注意を そらしている。

ソシエテ・ジェネラルとロンバード・ストリート・リサーチ、アプ ライド・エコノミック・リサーチ・ファンデーションのエコノミストら によれば、スペインの財政赤字は2012年に4年連続で9%を超えたもよ う。高失業率や過去4年で3回目のリセッション(景気後退)、銀行救 済コストの影響で620億ユーロ(約7兆4200億円)の歳出削減・増税の 効果がほとんど相殺された。

国際通貨基金(IMF)の予測では、債務総額は今年、国内総生産 (GDP)比で97%に達する見込み。

ソシエテ・ジェネラルのチーフ欧州エコノミスト、ジェームズ・ニ クソン氏(ロンドン在勤)は今月10日の電話インタビューで、「これは 破滅のループの典型的な例だ」と述べ、「スペインは進歩していない」 と指摘した。

スペインの10年国債利回りが前回、現状のように5%付近で取引さ れていたのはドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が1兆ユーロ強を金融 システムに供給した後の2012年3月初め。スペインのラホイ首相は3月 2日の欧州連合(EU)首脳会議で財政規律に関して合意した数時間後 に自国の赤字目標を拒否し、市場の落ち着きを台無しにした経緯があ る。

スペインは15日に最大55億ユーロの12カ月物と18カ月物の短期証券 入札を目指している。入札結果はマドリード時間午前10時40分ごろに発 表される。

未解決の問題

昨年7月にユーロ導入後最高の7.75%に達したスペインの10年債利 回りは今月11日に10カ月ぶりの低水準の4.8%に低下している。ロイヤ ル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の欧州マク ロ・クレジット調査責任者、アルベルト・ガロ氏は先週のインタビュー で「市場は未解決のマクロ問題を無視している」と指摘。「スペインは 持続可能ではない」と続けた。

投資家がスペイン国債に回帰しているのは、ドイツ国債の3倍の利 回り水準にある国債のリスクがECBの方針を受けて抑制されているこ とが背景だ。先週実施された今年初のスペイン国債入札は目標額を上回 り、落札利回りは低下した。

ラホイ首相はこうした入札結果に支えられ、十分な資金を確保し1 -3月(第1四半期)に救済を避けられる公算が大きいと言うのはドイ ツ銀行の共同チーフエコノミスト、ジル・モーク氏。同氏は「スペイン 国債は2013年に勢いよくスタートした」ものの、「12年の失望的な赤字 データで13年の財政計画の信頼性が損なわれれば、今の周辺国を取り巻 く全体的な明るさは容易に暗転する恐れがある」と指摘した。

原題:Draghi’s Bond Rally Masks Debt Doom Loop Trapping Spain’s Rajoy(抜粋)

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