バブル期来の日本株連騰、安倍政権信じ9週続伸-海外勢余力

日本株市場で、TOPIXが週間ベ ースでバブル経済絶頂期の1989年12月以来の連騰劇を演じている。主要 国の金融緩和を受け余剰資金が世界のマーケットに滞留する中、次元の 違う経済政策を標榜、日本再生へ導こうとする安倍晋三政権の可能性を 信じ、海外投資家の資金が東京に舞い戻ってきた。

安倍新政権の大胆な金融緩和や財政出動、いわゆる「アベノミク ス」への期待で、前政権が衆院解散を決めた昨年11月2週からことし1 月2週までTOPIXは9週連続高、その間に23%上げた。6%台の上 昇率にとどまった米S&P500種株価指数、ストックス・ヨーロッパ600 指数を大きくしのぎ、日本株評価の動きが鮮明になっている。

4月の日本銀行総裁人事、7月の参院選、年後半には来年の消費税 増税を控えた駆け込み需要発生の可能性と、途切れない国内イベントが 市場参加者らの強気な見方の底流にある。また、世界経済の循環的な回 復、企業収益の改善期待なども相場の押し上げ要因となってきており、 足元でゴールドマン・サックス証券、野村証券などストラテジストの間 で日本株見通しを引き上げる動きが相次ぐ。

JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は、安倍首相 は就任後の1カ月以内で緊急経済対策を閣議決定するなど、「口だけで はなく、行動で示している」と指摘。世界の投資家が日本株に収益機会 を感じ取り、「グローバルマネーが流入している」と話す。

安倍首相は昨年12月26日の就任以降、急ピッチで景気支援策を打ち 出し、前週末11日の閣議で政府は国費10.3兆円、事業規模20.2兆円に上 る緊急経済対策を決定した。また、安倍首相の求めに応じる形で、日本 銀行は21、22日に開く金融政策決定会合で、中長期的な目標として2% の物価目標を導入する予定だ。

欧米しのぐ増益率予想に安心も

主要国・地域と比較した日本企業の収益成長期待も、投資家の買い 安心感につながっている。ブルームバーグ・データによると、今後12カ 月の東京証券取引所1部上場企業の1株利益成長率の予想はプラ ス56%。一方、米S&P500種企業の成長率は13%、香港ハンセン指数 企業は6.8%にとどまる見込みだ。

パインブリッジ・インベストメンツの前野達志執行役員は、「企業 はこれまで収益力強化に努め、バランスシートも強くなっている」と言 う。経営者のグローバル経済の見通しが改善し、円安基調もこのまま続 けば、「企業の設備投資が拡大し、経済成長が加速する好循環に入る可 能性もある」との認識を示した。

米国や中国経済の回復期待も、日本株を支援している。米国は、住 宅市況と雇用環境が改善基調にあるほか、2011年以降、低下基調にあっ た米供給管理協会(ISM)の製造業指数は足元で底打ちの兆しを見せ る。英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが発表 した12月の中国の製造業購買担当者指数(PMI)は51.5と、11年5月 来の高水準となった。

海外機関投資家多くは乗り遅れ

日本株上昇を主導してきた海外投資家の資金流入は数字にも表れ、 東証が公表する昨年12月月間の投資部門別売買動向(東証、大証、名証 の1・2部合計)によると、海外勢は1兆5448億円買い越し、買越額 は05年11月(1兆6445億円)以来、約7年ぶりの高水準に膨らんだ。

フィデリティ投信運用部の福田理弘インベストメントディレクター は、「これまでの上昇はスピード違反で、ヘッジファンドと異なり、小 回りの利かない機関投資家の多くはまだ日本株を買えていない」と指摘 する。ゴールドマン証の試算では、国際株式ファンドのベンチマークに 対する日本株のアンダーウエート、約4%が解消された場合、海外勢か ら約5.3兆円の買いが期待できるという。

ただ、ここまで期待先行で上昇してきたことから、一部参加者の間 では慎重な見方も出始めている。プルデンシャル・インベストメント・ マネジメント・ジャパンの篠原慎太郎株式運用部長は、日銀が物価目標 を導入しても「メッセージ効果はあるものの、インフレ期待が高まるか は懐疑的」と見ている。中国も、これまでのような高成長の可能性は低 く、「全般的な環境として、世界経済は低成長が続く」と見通した。

3連休明け15日の日本株市場ではTOPIX、日経平均とも4日続 伸する動きで、TOPIXは東日本大震災当日の11年3月11日以来、日 経平均は10年4月以来の高値水準を回復した。安倍晋三首相が13日の NHK番組で、ことし4月に任期を迎える日銀の白川方明総裁の後任に ついて、「基本的には大胆な金融政策を実行できる人、われわれの主張 に合う人ということで考えてほしい」と発言。14日のニューヨーク為替 市場で、ドル・円が一時1ドル=89円67銭と10年6月以来の円安水準に 振れたことを好感した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE