金融危機から成長危機へ軸足移すECB-OMT並みの妙薬なし

欧州中央銀行(ECB)の政策の焦 点は金融危機から経済成長危機へと移った。ドラギ総裁は10日、「金融 面では平常が戻ったが、早期の力強い回復の兆しはない」と述べた。

ベレンベルク銀行のシニアエコノミスト、クリスチャン・シュルツ 氏は、「ECBは現状に不満かもしれないが、将来への楽観は増してい る」と指摘する。ECBは10日に政策金利を0.75%で据え置いた。一部 の政策委員が利下げを主張した前月と異なり、決定は全会一致だった。

10日の市場ではスペイン10年債利回りが5%を下回り、ユーロは円 に対して2011年7月以来の高値となった。過去最低水準への利下げ、ユ ーロを守るために「いかなる措置も辞さない」との宣言に続く国債購入 プログラム「アウトライト・マネタリー・トランザクション (OMT)」の発表と、危機との闘いに明け暮れた昨年を経て、ドラギ 総裁は13年を明るいトーンで歩み出した。

今待たれているのは、市場のセンチメント改善が実体経済に広がる こと。昨年7-9月(第3四半期)にリセッション(景気後退)入りし たユーロ圏経済は今年に入っても低調が続く見込みだが、ドラギ総裁は 年内のある時点で回復が始まると予想している。

総裁は同時に、経済と財政の健全性回復を各国政府に求めた。それ というのも、ECBには次に打つ手がないからだ。追加利下げはあまり 役に立たないだろうとINGグループのエコノミスト、カルステン・ブ ルゼスキ氏(ブリュッセル在勤)は言う。

「ECBが実体経済のためにOMTに相当する妙薬を発明できると は考えにくい。金融市場環境の改善と構造改革が最終的には本格的な景 気回復につながることを、ECBは密かに祈っていることだろう」と同 氏は話した。

原題:Draghi Shifts Crisis Gear as ECB Confronts Recession Challenge(抜粋)

--取材協力:Jeff Black、Gabi Thesing、Jana Randow、Stefan Riecher、Mark Deen、Jennifer Ryan、Patricia Lui、Alexis Xydias.

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