円が全面安、リスク回避緩和や日銀緩和期待で-ドル・円は88円台前半

東京外国為替市場では円が主要通貨 に対して全面安の展開。前日の米国株相場が3日ぶりに反発し、リスク 回避に伴う円買い圧力が弱まる中、日本銀行による金融緩和期待が再び 円相場を下押しする形となった。

ドル・円相場は1ドル=87円後半から一時88円22銭と3営業日ぶり の水準まで円安が進行。その後、88円ちょうど付近まで値を戻す場面も 見られたが、午後にかけては再び円がじり安となった。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、今月の日銀会 合では「政府との一体感を出して、物価目標を入れるだけでもメッセー ジとしてはある程度市場には伝わる」と言い、それによってさらなる緩 和の強化に対する期待感は維持されると指摘。4月の日銀総裁人事以降 の積極的な緩和観測もあり、当面は「円安の流れが続く可能性がある」 と語った。

ユーロ・円相場も1ユーロ=114円後半から一時115円14銭まで円売 りが先行。その後再び115円を割り込んだものの、円の上値は重く、午 後は115円ちょうど前後でもみ合いながら、徐々に円売り圧力が強まっ た。

一方、この日は欧州中央銀行(ECB)の定例政策委員会が開かれ る。ECB会合を控えて、ユーロは対ドルで軟調に推移。1ユーロ =1.30ドル後半から一時1.3039ドルまで弱含んだ。

物価目標

安倍晋三首相は9日夜に開いた経済財政諮問会議で、日銀に対して デフレ脱却に向け2%の物価目標を設定するよう求めてきた点をあらた めて強調し、「日銀においてはこのことも十分に踏まえて金融政策をお 願いしたい」と語った。会議終了後に会見した甘利明経済再生担当相に よると、日銀の白川方明総総裁は会議での意見を踏まえ金融政策に取り 組むと発言したという。

10日付の朝日新聞は、日銀が21、22日の金融政策決定会合で追加金 融緩和を検討し、安倍首相の要請を踏まえて2%の物価目標の導入も決 めると報じた。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、多くの報道 がなされ、プレッシャーもかかっている中で、日銀は2%のインフレタ ーゲットを「導入せざるを得ない状況になっている」と指摘。「先月も あったが、また量的緩和の拡大をやってくる可能性もある」と話した。

また、市場では11日に発表される日本の11月の経常収支にも注目が 集まっている。村尾氏は、円安トレンドの背景にあるのは貿易赤字の拡 大という日本の需給構造の変化だと言い、あすの指標はそれを裏付ける という意味で注目だと話した。

ECB会合

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、ECBはこの日の会合 で金融政策を0.75%に据え置く可能性が高い。エコノミスト55人中50人 が据え置きを予想。5人が利下げを見込んでいる。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラ テジストは、今週発表されたドイツの指標も弱く、「先行きECBが今 の景気低迷をどう判断するかという意味で、近い将来の利下げという思 惑は強まりやすい」と指摘。「ユーロは年末買われていたため、調整も 入りやすい」と話した。

--取材協力:. Editor: 崎浜秀磨

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