欧州の優等生ドイツにもほころび-「欧州の病人」に逆戻りも

ドイツでは国内経済が抱える問題を 放置する兆候が出始めている。欧州大陸の成長エンジンとなっているユ ーロ圏経済の優等生ドイツは、他国に歳出削減を求めているが、投資家 やエコノミスト、政策担当者らはメルケル首相率いるドイツが自国経済 の弱点に目をつぶりつつあると警告し始めている。

メルケル首相が指名したアスムセン欧州中央銀行(ECB)理事 は、ドイツが自らの問題を解決しなければ、かつて「欧州の病人」と呼 ばれたような状況に独経済が逆戻りするとまで断言した。

メルケル首相とドイツの有権者が3000億ユーロ(約34兆円)を超え る規模の救済・保証策を支持しなければ、欧州の債務危機はすでにユー ロ圏の分裂を引き起こしていたかもしれない。欧州救済を主導してきた メルケル首相だが、雇用コストが10年で最も速いペースで高まるなど国 内の経済問題への対応がおろそかにもなりがちで、シュレーダー前政権 時代にドイツが遂げた進歩の大半が失われつつある。

ベルリン自由大学のアーウィン・コリアー教授(経済学)によれ ば、「欧州を優先課題としてメルケル首相は取り組まなければならなか った。だが、ほかに多くのことも同時にしなければならないし、今は明 らかに国内の状況を変える必要がある」という。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)のデータは、ドイツの 労働力コストが上昇傾向にある一方で、スペインなど他のユーロ圏諸国 の競争力改善が進んでいることを示している。

ドイツ出身のアスムセンECB理事は昨年12月6日、USニュー ズ・アンド・ワールド・リポートがまとめた2012年の世界大学ランキン グで、上位50校にドイツの大学が1校も入らなかったことを踏まえ、 「ドイツは科学と数学の教育で深刻な後れを取っている。高品質の製品 生産を誇るドイツにとって、もちろん問題だ」と述べ、改革がなければ 「ドイツは5年以内に再び『欧州の病人』と呼ばれることになるだろ う」とフランクフルトでの講演で言明した。

原題:Merkel Economy Shows Neglect Amid Concern Over Sick Man’s Return(抜粋)

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