日本経済への影響、長期化-「日中関係の景観」が変わるか

尖閣諸島をめぐる2010年の日中対立 に伴う経済的な落ち込みは1カ月足らずで終わった。だが今回の対立 は、日本の景気低迷を長期化させている。

反日感情に駆られた中国の消費者が日本製品の不買運動を展開して から4カ月たつが、中国市場での日本車販売はまだ回復していない。製 造業では中国メーカーが韓国の部品供給業者にシフトし始めている。日 本にとっての最大の輸出市場は中国から再び米国となった。

IHSのマネジングディレクター(シンガポール在勤)、トニー・ ナッシュ氏は「日本が輸出先として中国への依存度が高めたことから、 対立のコストは膨らんでいる。この問題をめぐるナショナリズムは中国 における日本製品への需要を減らしている」と述べた。

日中両国間の貿易は2000年以降3倍の3000億ドル(約26兆円)余り に増え、対立に伴う商業面でのコストが高まっている。日本政府が尖閣 諸島を昨年9月に国有化したことに対し、中国共産党の習近平総書記は 「茶番」だと批判した。

マイアミ大学の中国政治専門家、ジューン・ドライヤー教授は電話 取材に対し、今回の日中対立の影響はこれまでで最大だと指摘、「疑い もなく状況を本当に変えてしまった。中国は欲しいものを手に入れるま で領有権を主張し続けるだろう」と語った。

JPモルガンの株式調査責任者(東京在勤)、イェスパー・コール 氏は、「日本には知的財産やブランド、資本がある。中国は人口と市 場、購買力を持っている」と話した。

対中投資

マサチューセッツ工科大学(MIT)の中国政治専門家、テーラ ー・フラベル教授は「今回の対立は日中関係の景観を変えた。領土をめ ぐる対立はエスカレートしやすい」と説明した。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当 チーフエコノミスト、劉利剛氏(香港在勤)は「日中双方の経済が結局 は敗者となるだろう。日本は大きな市場を失い、中国は日本の技術と投 資を成長のてことして使えなくなる」と分析。中国は欧米からの投資を 増やすよう努めており、「中国における日本企業の影響力が低下し始め る」という。

ただIHSのナッシュ氏は、中国に数十年にわたり投資してきた日 本企業が撤退する公算は小さいとみている。「二者択一の問題ではな い。日本企業は中国にとどまり、東南アジアなどに投資するだろう。日 本の輸出先が中国から完全にシフトすることは難しく、中国のOEM (相手先ブランドによる生産)が日本の部品から完全にシフトすること も難しい」と電子メールでコメントした。

原題:China-Japan Dispute Takes Rising Toll of Asia’s Top Economies(抜粋)

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