円全面高、急ピッチの円安の反動で買い先行-対ドル87円前半

東京外国為替市場では円が全面高。 安倍晋三政権への政策期待を背景に急ピッチに進んだ円安の反動から、 円買いが先行しやすい状況が続いた。

ドル・円相場は朝方に1ドル=87円後半から一時87円24銭と2営業 日ぶりの水準まで円高が進行。正午前には麻生太郎財務相が欧州安定化 メカニズム(ESM)の債券購入を表明したことを受け、円売りが強ま る場面も見られたが、株価が軟調に推移する中、午後にかけては再び円 がじり高となった。午後4時15分現在は87円38銭前後。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、昨年10月以降で10% 以上円安が進むというペースで、さらに100円くらいまで仮に円安が進 んだ場合、輸出企業が同じペースで業績拡大するとは限らないとし、円 安と業績改善のバランスが崩れれば、景気に影響を及ぼしかねないと指 摘。全般的に安倍政権の円安政策に対して市場は「冷静になってきてい る」と言い、「昨年の12月終盤にかけて相場が薄い中で、円安に突っ込 み過ぎたところの調整場面を見始めた感じ」と話した。

ユーロ・円相場は1ユーロ=115円前半から一時114円49銭まで円高 が進行。同時刻現在は114円60銭前後となっている。

ポジション調整

安倍政権は経済政策の司令塔として新設した「日本経済再生本部」 の初会合を8日朝、開いた。経済再生本部で議論した緊急経済対策の骨 子案は「日本経済を大胆に再生させる必要」を強調。取り組むべき課題 として景気の底割れに万全の措置を講じ、円高・デフレからの脱却を図 ることなどを挙げた。安倍首相は政権の経済再生に向けた取り組みの第 一弾と位置付ける緊急経済対策を11日をめどに取りまとめる考えを表明 した。

一方、麻生財務相は同日午前の閣議後会見で、政府と日本銀行が検 討している政策協定に「雇用安定」を明記するとした一部報道に対し て、「雇用は政府も非常に関係する話。これを日銀だけに押し付けるの はどうかと思う」と否定的な考えを示した。同日付の毎日新聞朝刊は、 政府・日銀が「雇用の安定」を目指す方針を協定に明記する方向で調整 に入ったと報じていた。

ブルームバーグ・データによると、円は過去3カ月間に対ドルで 約12%下落。先週は1週間で約2.6%下落し、週末には2010年7月以来 の安値となる88円41銭を付けた。

バークレイズのFXストラテジスト、逆井雄紀氏(ニューヨーク在 勤)は、ドル・円は円売りポジションもたまっているし、モメンタムも 年末年始を通して非常に強かったので、ある程度上がったところでは利 益確定のドル売りが出やすいという地合いがあると解説。もっとも、円 の上昇は「ポジション調整の域を出ていない感じ」と話した。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイ ル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)でドル・円先物取引非商業 部門の円ポジションは昨年12月31日時点で8万517枚の売り越しとなっ た。売り越し幅は昨年12月11日時点で9万4401枚と07年7月以来の水準 まで拡大。その後は縮小に転じ、前週は8万5608枚となっていた。

ESM債購入

麻生財務相はこの日の会見で、ESMが発行を始める債券について 購入する意向を表明した。財務相はESM債の購入に関して「欧州の金 融安定化が円を含む通貨の安定に資する観点から、外貨準備を活用して 継続的に購入する方針だ」と言明。同日発行予定の初回起債分(3カ月 物)も、発行額や条件を精査した上で購入額を決めるとし、購入実績は 翌月明らかにする。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏 は、ESM債購入とのヘッドラインを受け、市場は円売りに動いたが、 外貨準備活用による購入ということで、円売りは続かなかったと解説。 「外貨準備を活用するなら、対ドルでのユーロ買いにはなるが、ユー ロ・円の買いには直接はつながらない」と説明した。

ユーロ・ドル相場は前日の海外時間に1ユーロ=1.30ドル前半か ら1.31ドル前半までユーロ買い・ドル売りが進行。8日の東京市場では さらに値を切り上げ、一時1.3140ドルと3営業日ぶりのユーロ高水準を 付けた。

--取材協力:大塚美佳、Mariko Ishikawa、三浦和美. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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