長期金利は低下、株安・円上昇や10年債入札結果受けて買い優勢に

債券市場で長期金利は低下した。円 相場の上昇や国内株式相場の下落に加えて、午後に発表された10年利付 国債の入札結果を受けて買い安心感が広がったことが背景。

しんきんアセットマネジメント投信・投資調査グループの鈴木和仁 シニアストラテジストは、「市場で過度の金利上昇懸念が後退した。こ のため、10年債利回りで見て0.8%台半ばは良い押し目との認識が広が り、徐々に買い優勢の地合いとなっている。実際、年末年始は10年債入 札への不安があったが、最低落札価格が予想通りに決まるなど無難な結 果となった」と述べた。

現物債市場で長期金利の指標となる10年物国債の326回債利回りは 前日比横ばいの0.835%で始まり、その後は徐々に水準を切り下げ、午 後1時すぎに1ベーシスポイント(bp)低い0.825%に低下した。

5年物の107回債利回りは、午後3時前後に0.5bp高い0.205%と、 昨年10月18日以来の高水準を付けたが、その後は横ばいの0.20%。20年 物の141回債利回りは0.5bp高い1.80%と、新発20年債としては昨年4月 4日以来の1.8%台で始まった後は、横ばいの1.795%で推移した。30年 物の37回債利回りは1bp高い2.01%と、新発30年債としては11年9月2 日以来の高水準を付けたが、その後は2.005%で取引された。

東京先物市場で中心限月の3月物は、前日比7銭安の143円37銭で 始まり、直後に8銭安の143円36銭まで下げた。その後は買いが優勢と なり、午後の取引開始後には143円53銭まで上昇した。引けにかけて伸 び悩み、結局は1銭安の143円43銭で取引を終えた。

環境改善や不透明感払しょく

ソシエテ・ジェネラル証券の菅原琢磨シニア円債ストラテジスト は、「昨年末からの円安・株高の動きが一服したほか、米国債も落ち着 き気味で、外部環境が改善したことを受けて、足元は小じっかり。国債 増発額も見えてきて、不透明感が徐々に払しょくされつつある。水準的 にも押し目買いが入りやすい」と説明した。

しんきんアセットの鈴木氏は、日銀が今後も追加緩和に踏み切る見 通しの中で、「国債増発における年限割り振りになお不透明感はある が、発行増への懸念も織り込みが進んでおり、金利上昇時には買い下が りのスタンスではないか」とみていた。

安倍晋三政権は経済政策の司令塔として新設した「日本経済再生本 部」の初会合を8日朝に開いた。安倍首相は政権の経済再生に向けた取 り組みの第1弾と位置付ける緊急経済対策を11日をめどに取りまとめる 考えを表明した。これを受けて、RBS証券の福永顕人チーフ債券スト ラテジストは、今年度の終わりから来年度初めにかけて月額で7000億円 程度の国債増発になるとみている。

財務省が発表した表面利率(クーポン)0.8%の10年利付国債(327 回債)の入札結果によると、最低落札価格は99円77銭と市場予想と一致 した。小さければ好調とされるテール(最低と平均落札価格の差)は2 銭と、前回と横ばい。投資家の需要の強さを示す応札倍率は3.52倍と、 前回の3.85倍から低下した。

SMBC日興証券金融経済調査部の山田聡部長は、10年債入札は潜 在需要を背景に無難に通過したと指摘。「昨年12月半ばから利回りはじ り高に推移したが、前日には入札直前にもかかわらず押し目買いが入る など、0.8%台半ばでは相応の需要がうかがえた。一方向の円安・株高 が一服したタイミングにあたったこともサポート要因」と述べた。

また、ソシエテ・ジェネラル証の菅原氏は「増発懸念があったわり にはそこそこ無難な結果だった」と分析した。

8日の東京為替市場で円は対ドルで上昇し、1ドル=87円台前半ま で水準を切り上げた。4日には2年半ぶり安値となる88円台半ばに下落 していた。国内株式市場で日経平均株価は続落。前日比0.9%安の1 万0508円06銭で終えた。

--取材協力:赤間信行. Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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