企業年金も金投資か、安倍政権下のインフレヘッジで-豊島逸夫氏

金の国際調査機関、ワールド・ゴー ルド・カウンシル(WGC)の日本代表を昨年まで20年以上務めていた 豊島逸夫事務所の豊島逸夫代表は、安倍晋三政権下でインフレ懸念が生 まれると、企業年金で一部資金を金に振り向ける動きが出てくる可能性 があるとみている。

豊島氏は8日、「アベノミクスでインフレを懸念するセンチメント が生まれてくると、年金が金をヘッジ手段として資産に組み込む動きに なっても不思議ではない」と述べ、今後3年間に1000億円程度まで増え る可能性があると述べた。豊島氏によると、企業年金の金投資が始まっ たのは、東証に初の金ETF「SPDRゴールドシェア」が上場され た2008年ごろから。企業年金の金投資残高は現在でも数十億円とみてい る。

先月26日に就任した安倍首相は、デフレ脱却の実現に向けて2%の インフレ目標を設定した上で、大胆な金融緩和を日銀に求めている。イ ンフレ率が1年以上少なくとも2%を上回っていたのは、1992年が最後 となる。インフレで通貨の価値が低下した場合、実物資産は損失を回避 する手段になる。

大和総研が全国128の年金基金を対象に行った12年度の調査では、 全体の17.5%がコモディティに投資していることが分かり、前年よ り1.3%増加したという。同総研の金融調査部の菅野泰夫・主任研究員 は、「企業年金は20年間資産を運用してきて収益が上がらなかった。株 価は直近で上がっているが、企業年金は国内株を減額する方向に向かっ ている。コモディティを買った年金はこの10年間で成功している」と話 す。

8日午後0時54分現在、日経平均株価は前日比94円43銭(0.9%) 安の1万504円58銭。過去20年間で37%下落している。一方、金現物価 格は1オンス当たり1648.50ドルと、5倍の水準で推移している。

「金の果実」

国内信託銀行最大手の三菱UFJ信託銀行が10年に上場した金 ETF「金の果実」は、資産残高が12年11月末現在で262億円となっ た。同行フロンティア戦略企画部の星治部長によると、企業年金はまだ 2機関がそれぞれ運用資産の最大3%、合計21億円を組み込む程度だ が、欧州債務危機などを背景に、昨年から複数の新たな年金基金が関心 を示しているという。「金の果実」は年金資金も取り込んで資産残 高500億円を目指すという。

70年代に2度のオイルショックでインフレが起きたが、ブルームバ ーグ・データによると、日本の消費者物価指数(除く生鮮食品、月次ベ ース)は70年1月から10年間で2.3倍程度に上昇した一方、同期間に金 の現物価格はドル建てベースで約19倍に上昇した。

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