ドルが87円後半に下落、急速な上昇に警戒感-米欧のリスクも

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=87円台後半に水準を切り下げた。急速なドル高・円安の進 行に対する警戒感が生じやすい状況の中で、米国の債務上限引き上げ問 題に加え、週内には欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合も控え、ド ル買い・円売りの動きは限定された。

この日の東京市場では朝方に付けた88円38銭から徐々に円が水準を 切り上げ、午後には87円69銭まで円高が進んだ。午後3時55分現在は87 円76銭前後で推移。前週末の海外市場では一時88円41銭と、2010年7 月15日以来の水準までドル高・円安が進行。ドル・円相場の相対力指数 (RSI、期間14日)は、昨年12月12日以降、ドル買い・円売りの行き 過ぎの目安となる70を上回っている。

IGマーケッツ証券の為替担当アナリスト、石川順一氏は、目先は 国内要因で材料不足の面があると言い、「安倍政権への期待先行で行き 過ぎた円安の是正がようやく働いてきている」と説明。また、米国の債 務上限引き上げをめぐる政治的リスクや、欧州のファンダメンタルズ (経済の基礎的諸条件)など、欧米でリスク要因がくすぶる中、この日 の東京市場では「アジア株の下落に伴うリスク回避的な動きが波及し て、円買いにつながっている」としている。

円は主要16通貨に対して全面高の展開。対ユーロでは朝方に一時1 ユーロ=115円56銭と、3営業日ぶりの安値を付けていたが、午後にか けて円買いが活発化し、114円31銭まで水準を切り上げた。午後3時55 分現在は114円46銭付近で取引されている。この日の東京株式相場は、 続伸して取引を開始した日経平均株価がマイナスに転落し、午後には下 落幅を拡大する展開となった。

ドル高・円安に過熱感

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は5日、米国の債務上 限引き上げや欧州の問題で解決策が見いだされなければ、「大規模な世 界的な経済危機」になるだろうとの見解を示した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ここまで調整ら しい調整がないままドル高・円安基調が続いているとし、「過熱感があ るのは間違いない」と言い、88円から90円までの間でいったんは調整が あると予想。安倍政権は月内に緊急経済対策を発表する予定だが、政策 を告知しただけで、まだ実行に移していない段階という状況を勘案して も「やはり今の円は売られ過ぎという感じがする」としている。

一方、4日に発表された昨年12月の米雇用統計によると、非農業部 門の雇用者数は前月比15万5000人増となった。ブルームバーグ・ニュー スがまとめた市場予想の中央値は15万2000人増だった。11月分は16 万1000人増と、速報値の14万6000人増から上方修正された。

雇用統計の結果を受けて、前週末の米株式相場はS&P500種株価 指数が07年12月以来の高値まで上げた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作シニア為替・債券 ストラテジストは、米国の経済指標では雇用統計も含めて景気がそこそ こしっかりしているということが再確認されたと説明。また、日本も新 政権下で金融と財政両面で政策の強化が見込まれる中、景気回復見通し を背景としたリスクオン(選好)局面では株高・円安期待が働きやすい とし、「地合いとしての円安は続く」とみている。

ただ、12月の米失業率は7.8%と、市場予想の7.7%を上回った。4 日の米国債市場では、10年債の利回りが一時1.97%と昨年4月26日以来 の高水準まで上昇した後、伸び悩んだ。佐藤氏は、米国では長期金利が 2%台乗せを目前にして折り返しており、また、債務上限の引き上げを めぐる協議が再び与野党間で紛糾する可能性も残ると指摘。「ドルもあ まり買えない」と言う。

--取材協力:Monami Yui、小宮弘子. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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