【今週の債券】長期金利0.8%台の上限探る、円安・株高や入札を警戒

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台の上限を探る展開が予想されている。外国為替市場での円安進行や国 内株高基調に加えて、週内に2回実施される予定の国債入札をめぐって 金利に上昇圧力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが4日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは全 体で0.80%-0.90%。前週末終値は0.835%だった。

2013年の大発会となった前週末の債券市場で長期金利は0.835%と 昨年9月13日以来の水準に上昇した。米国議会で大半の世帯が所得税増 税となる財政法案が通過し、「財政の崖」の悪影響が回避されたことか ら安全性へ逃避する動きが後退している。米長期金利は8カ月ぶり高水 準となり、円は一時1ドル=88円台半ばと2年半ぶり水準まで下落。日 経平均株価は1年10カ月ぶり高値まで水準を切り上げた。

8日には10年利付国債(1月債)の入札が実施される。前週末の入 札前市場で10年物は0.84%程度で推移した。このため、表面利率(クー ポン)は前回債より0.1ポイント高い0.8%となる見込み。発行額は前回 債と同額の2兆3000億円程度。

また、10日には30年利付国債(1月債)の価格競争入札が実施され る。今回は、前回入札された37回債と銘柄統合するリオープン発行とな り、クーポンは1.9%。37回債利回りは前週末に1.99%で引けた。発行 額は前回債と同額の7000億円程度。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、10年債入札について 「あえて今回購入するならば、利回りで0.86%が目途だろう」と指 摘。30年債入札については、「利回りは円安や国債増発懸念もあり、景 気回復をかなり先取りした水準にある。2.00%では、買い渋っている生 命保険も触手を動かそう」だとみている。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は3月物、10年国債利回りは326回債。

◎パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長

先物3月物142円80銭-143円55銭

10年国債利回り=0.80%-0.90%

「金利上昇の流れが続く。円安・株高に加えて、入札が続く米国債 は10年金利がレンジを上に抜けてきたようにも見える。米金利上昇に伴 って想定以上に円安が進む可能性もある。10年債の0.85%では一定の押 し目買いが期待されるが、入札もあり買い急ぐ向きは少ないのではない か。1-3月は期末で買いが入りにくい上、米国ではリスクマネーが流 入しやすく、季節的な金利上昇の流れにも乗っている。増発懸念がある 中、昨年はパフォーマンスが良かった10年債が崩れるリスクがある」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物3月物142円90銭-143円60銭

10年国債利回り=0.80%-0.86%

「10年債利回り0.8%台半ばからは打診的に買い。短期的には金利 上昇余地を模索しそうだ。米国は『財政の崖』への転落をいったん回避 しており、景気回復期待も相まって金利上昇や株高などリスク選好の動 きが強まっている。国内債市場は投資家の腰が引けた状態だけに、押し 目水準に到達しても買い控えの構えだ。一方、日銀の追加緩和の期待が 根強いことから、10年債の入札通過後は過度の金利上昇が抑制されそ う。来週半ばくらいには一方向の株高や円安にもブレーキがかかる」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物3月物142円75銭-143円50銭

10年国債利回り=0.80%-0.88%

「金利は上昇余地を探る展開か。為替は円安方向だとみており、外 部要因からは債券に売り圧力が掛かりやすい。加えて、今週は10年と30 年債の入札が実施される。年末年始にかけて利回りが上昇しており、ク ーポンは引き上げられそうだが、金利上昇のスピードが速く、入札に対 して警戒感がある。今月には緊急経済対策が出て、それに伴い国債が増 発される可能性が高い。需給面でも債券には逆風だ。投資家の潜在需要 は強いものの、金利上昇が止まらないと強い買いは入りにくい」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎. Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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