ドル、円に対して約2年5カ月ぶり高値-米金利高、雇用改善期待で

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が約2年5カ月ぶりの高値を更新した。米国の「財政の崖」懸念が後 退する中、雇用統計への期待感や金融当局による国債購入の早期終了観 測を背景とした金利上昇がドル買い要因となった。

1ドル=87円台前半で日本時間朝の取引を迎えたドル・円相場は買 い優勢の展開が続き、正午過ぎには一時87円83銭と、2010年7月28日以 来の高値を付けた。その後も高水準を維持し、午後3時25分現在は87 円74銭付近で推移。ドルが上昇して今週の取引を終えた場合、週間ベー スで1989年2月以来の8連騰となる。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、財政の崖転落による米景気の大幅な後退が避けられ たことで、長期金利が上昇していたところに、連邦公開市場委員会 (FOMC)議事録の内容が金利の一段高につながり、ドル高主導の流 れに変わってきたと指摘。目先は米金利動向を見極める上で雇用統計が 注目材料になると言い、「強い結果になって一段と金利が上昇すれば、 ドルが88円台に乗せる展開も十分にあり得る」と見る。

ドルは対ユーロでも買い進まれ、一時は1ユーロ=1.3019ドルと、 昨年12月12日以来の高値を付けている。

米長期金利が上昇

米連邦準備制度理事会(FRB)が3日に公表した連邦公開市場委 会(FOMC)議事録によると、資産購入を続ける期間をめぐっては参 加者の間で意見が分かれていたことが明らかとなった。予想を示した参 加者を見ると、13年半ばごろに終了するのが適切と指摘した参加者と、 年央以降も続けるべきだとした参加者の割合は「ほぼ半々」だった。

3日の米国債市場では、10年債利回りが一時1.91%と昨年5月10日 以来の水準に上昇した。

また、米給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテ ュートが発表した給与名簿に基づく集計調査では、昨年12月の民間部門 の雇用者数は前月比で21万5000人の増加と、ブルームバーグがまとめた 市場予想の中央値14万人増を上回る伸びとなった。

三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットマーケ ットメイクチーム長の海崎康宏氏(ニューヨーク在勤)は、米雇用関連 の数字が強かったことを受け、4日に発表される昨年12月の雇用統計に 関しても強い内容が期待され、米金利上昇に連れてドルが上昇したと説 明。さらに、FOMC議事録の内容が「予想外にタカ派的」だったと言 い、ドル買いを後押ししたとしている。

この日の米国時間には12月の雇用統計が発表されるが、市場予想に よると、非農業部門の雇用者数は前月比15万3000人増と、11月の14 万6000人増を上回る伸びが見込まれている。

一方、昨年末に懸念されていた減税執行と強制的な歳出削減が重な る米国の財政の崖問題は、年明けに上下両院で大半の世帯の所得税増税 を避ける法案が可決され、いったんは回避された。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作シニア為替・債券 ストラテジストは、財政の崖が「坂」程度に落ち着いて、市場が冷静に なれば、米国の雇用情勢を中心としたファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)に原点回帰すると指摘。2カ月後には再び債務上限の引き上 げ問題が残るが、「常識的に考えて米国債券をデフォルト(債務不履 行)させるようなテールリスクの現実化は想定しにくい」とみている。

--取材協力:. Editors: 崎浜秀磨, 山中英典

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