長寿世界一の立役者は優れた遺伝子-確率は宝くじ1等並み

男性の長寿世界記録を昨年12月28日 に更新した京都府の木村次郎右衛門さんは、幼少期の幸運だけでなく、 同世代の大多数よりもここまで70年長く生きることを可能にした優れた 遺伝子を授かったことに感謝すべきかもしれない。

4日に115歳と260日目を迎えた次郎右衛門さんは、乳幼児死亡率を 高めた原因とされた結核肺炎のような病気を患わなかった。次郎右衛 門さんが生まれた1897年ごろの日本人の平均寿命は44歳。こうした病気 による乳幼児死亡率の高さが平均寿命を抑える要因となっていた。京都 府京丹後市で暮らす次郎右衛門さんの孫の妻、木村栄子さんはインタビ ューで、次郎右衛門さんは大人になってからも大病を患ったことがない と語った。栄子さんによると、次郎右衛門さんは数年前までテレビで相 撲番組を楽しみ、毎日2紙の新聞を読んでいた。

年を取るにつれて優れた遺伝子が次郎右衛門さんの頑健さを際立た せている。複数の科学者は、心臓病がん、その他高齢者に見られる慢 性病の発生を防ぐ特殊な遺伝子が長寿を促しているようだと指摘する。 関係する生物学的なメカニズムを理解することが、増加傾向にある非伝 染病疾病を治療する鍵を与えてくれる可能性がある。非伝染病疾病によ る世界経済への負担額は今後20年で47兆ドル(約3950兆円)に達すると 予測されている。

米ボストン大学のニューイングランド長寿研究プロジェクトでディ レクターを務めるトマス・パールズ氏は「最適な組み合わせになるのは 宝くじを当てるようなものだ」と述べ、次郎右衛門さんの遺伝子の一部 は「老化の原因となる細胞機能の低下だけでなく、彼にとって好ましく ないであろう遺伝子異変さえも防いでいる公算が大きい」と分析する。

遺伝子的要因

パールズ氏によれば、人が80歳代後半まで生きる確率の約3割は遺 伝的要素で決まるもようだ。残りは生活習慣や環境に左右される が、105歳まで生きる人は遺伝的要素の影響がより大きくなるという。

ダンディー大学(スコットランド)の細胞生物学者ダリオ・アレッ シ氏は、人が年齢を重ねるにつれて壊れたDNAを修復する機能の効率 が落ちるため、細胞には潜在的に害になる変異が蓄積されると説明。次 郎右衛門さんには重大な病気を引き起こす異変がないか、壊れた遺伝子 を修復する優れた能力があるのかもしれないとみる。

2009年にノーベル医学生理学賞を受賞した米ジョンズ・ホプキンズ 大学のキャロル・グライダー教授(分子生物学)は、染色体の末端に存 在して細胞分裂の可能回数を決めるテロメアと呼ばれるDNA構造が別 の細胞老化メカニズムに関係していると指摘する。出生の段階でテロメ アの長さは人それぞれだが、100歳以上生きる人は比較的長いテロメア を持っているという。

兄弟姉妹そろって長寿

同教授はインタビューで、「細胞分裂が起こるたびにテロメアは若 干短くなる。健全で素晴らしいテロメアを持って生まれてきた人でも、 それぞれが寿命を全うする過程で損なわれていく」と説明。生来テロメ アが短い人は年齢に関係する変性疾患にかかる確率が高いとも語った。 その上で、次郎右衛門さんも長いテロメアを持っている可能性があると の見方を示した。

次郎右衛門さんのおいの三宅保さんによると、次郎右衛門さんの両 親は78歳と65歳で亡くなった。5人の兄弟姉妹のうち4人は90歳以上生 き、末弟は100歳まで生きたという。

原題:Oldest Man Turning 115 Can Thank Lottery Win-Like Genes: Health(抜粋)

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