米「財政の崖」の悪影響回避、株価上昇-次の正念場は2月

米議会で財政法案が通過し大半の世 帯の所得税増税が回避されるため、米経済は差し迫った窮地は脱した が、連邦債務の膨張を抑制するという長期的な問題は未解決のまま残っ た。

共和党は既に次の戦場へ目を向けている。現在16兆4000億ドルの連 邦債務上限を引き上げる必要性と引き換えに、オバマ米大統領にメディ ケア(高齢者向け医療保険制度)など給付金制度の縮小を受け入れるよ う強いる方針だ。デフォルト(債務不履行)を回避するために議会は早 ければ2月半ばまでに行動しなければならず、対立が続けば米国の格下 げにつながった2011年の状況が再現される可能性がある。

ベイナー米下院議長(共和、オハイオ州)は採決後、「意義のある 給付金制度改革や本物の歳出管理、そして今より平等で公正な税法がな ければ、米国の債務は拡大し続け、経済はつまずき続ける」とのコメン トを発表した。

オバマ大統領は「妥協する用意がある」とし、メディケア支出を削 減することは可能だと指摘。ただ、「単に削減で繁栄が導かれることは ない」と述べた。

米下院本会議は1日夜、大半の世帯の所得税増税を回避する法案を 超党派で可決した。下院共和党は歳出削減の追加を検討したが、上院が 拒否する姿勢を示したため修正を断念した。

本会議での採決は賛成257票、反対167票。同日いったんは発動され た6000億ドル(約52兆円)相当の減税失効と強制的な歳出削減が重なる 「財政の崖」をめぐる1年に及ぶ協議は、これでひとまず決着した。上 院は同法案を同日未明、賛成89票、反対8票で可決。オバマ大統領に送 付され、大統領は署名する意向を明らかにした。

市場の反応

オバマ大統領はホワイトハウスで「財政赤字を均衡の取れた方法で 削減する必要がある」と指摘。最高所得層と企業の税率はさらに引き上 げられるべきで、議会は債務上限を引き上げる必要があるとした上で、 「誰もが応分の負担を求められる。誰もが自らの役割を果たさなくては ならない」と続けた。

法案可決を受けて、2日の米株式相場は続伸。午前10時23分現在、 S&P500種株価指数は前営業日比2.1%高。商品相場も急伸し、銅はほ ぼ4%、原油は約2%いずれも値上り。米10年債利回りは8ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)上昇している。

可決された法案は、1日午前0時に失効した大半の世帯への減税を 恒久化するとともに、失業保険給付を延長し、歳出の強制削減を2カ月 間先送りする内容。2%の給与税減税は失効を容認した。ブッシュ前政 権時に導入された減税は大半の世帯にとって恒久的なものとなる一方 で、最富裕層向けの減税は打ち切られる。

国民の77%が増税

下院共和党は所得のある全世帯が対象となる増税に反対していたほ か、一部共和党議員は上院可決法案の歳出削減が不十分だとして反発す る姿勢を示していた。

同法案では、一般世帯の77.1%にとって増税となる。給与税減税失 効の影響が大きいため。超党派の税政策センターが暫定的な試算を示し た。

12年に比べて増税幅が最も大きくなるのは、最上位の富裕層で、所 得税、キャピタルゲイン、配当、固定資産への課税額が増税となる。同 センターによると、年収50万6210ドルを上回る上位1%納税者の増税分 は平均7万3633ドル余り。

法案では、単身で年収40万ドル超、夫婦で45万ドル超の世帯に対す る所得税の最高税率が12年の35%から39.6%に引き上げられる。また、 キャピタルゲインと配当の最高税率は23.8%となる。12年は15%だっ た。

原題:House Passes Tax Deal on Bipartisan Vote as Next Fight Looms (2)(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE