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ストームハーバー:不動産関連投資を拡大-100億円規模数件に

世界的に投資銀行業務を手掛ける 独立系のストームハーバー・パートナーズは、日本国内での不動産関連 投資を拡大する。国内の不動産投資は国債の利回りと比較しても期待収 益率が高く、市況の回復も見込めることから、とりわけ海外の投資家か らの需要が強い。国内事業の柱の一つとして不動産分野での運用を加速 する考えだ。

同社の国内拠点であるストームハーバー証券の那珂通雅社長はブル ームバーグ・ニュースのインタビューで、会社設立後の2年間で「10億 円単位のものを数件」だった不動産関連の取扱額を毎年「100億円単位 で数件」にしたい意向を示した。那珂氏によると「都心で5-6%、も うちょっと離れれば8-10%という不動産の利回りには割安感がある」 という。そのため、不動産の私募投資信託や物件への直接的な投資に対 し「海外投資家からの問い合わせが増えている」という状況だ。

インタビューに同席した野口史朗事業法人営業部長は、不動産への 投資をめぐっては「価格が乱高下する傾向が強い有価証券と比較して市 況は安定している」ため、特にリーマン・ショックで損失を被った投資 家を中心に「不動産のような、より実体的な資産を持ちたいという傾向 が顕著にある」と補足した。

那珂氏は、昨年3月の東日本大震災がなければ、海外の投資家から の需要はもう少し早く盛り上がっていたと想定する。震災は一部の投資 家の意欲に影響を与えたものの、揺れで建造物が倒壊する事例が少なか ったことから「日本の信頼性を強めることにもなった」と指摘した。

不動産分野での運用では、三菱地所グループが私募リートの運用資 産を9月に510億円から622億円に増額したほか、独立系運用会社スパー クス・グループも9月26日、90億円規模の住宅特化型私募ファンドを設 定すると発表している。

強気のファイナンス

さらに、那珂氏は利回りだけでなく「銀行が不動産に対しては非常 にファイナンスに積極的」であることもメリットだと強調する。同氏は 「メガバンクであれ地銀であれ、積極的に融資してくれるのでレバレッ ジを掛けやすい。海外と比べローンの比率を高くつけられる。金融商品 という面から見ても、非常に魅力的な商品を作ることができる」と指摘 した。

地域別にみると、東京に次いで人気が高いのは福岡だという。那珂 氏は海外の投資家から「福岡で良い案件を紹介してほしい」との問い合 わせが多くあると語る。現在は日中、日韓関係のこじれから冷え込んで いるものの、これまでは両国からの観光客が多かったこともあり、アジ ア系投資家を中心に福岡の人気が高まった。さらに、石垣島や沖縄本島 でホテル物件に投資したいという声も強いという。

同社は元シティグループ幹部のアントニオ・カコリーノ氏やフレデ リック・チャピー氏が2009年にニューヨークとロンドンで設立した独立 系証券会社。元シティグループ証券の副社長を務めた那珂氏は、ストー ムハーバーの6か所目の拠点として約2年前に東京にストームハーバー 証券立ち上げ時に、「ライバルは大手投資銀行」と語った。しかし、そ のライバルも、現在は金融危機により欧州系の金融機関を中心に日本国 内の事業を縮小する状況が続いている。

そのため、那珂氏は「大手投資銀行がカバーできる顧客の数が限ら れてきている。われわれの顧客からは『最近は電話が来ない』とか『担 当者がいなくなった』という声を聞くようになった」と語る。大手の規 模縮小に伴って事業機会は拡大しており、独立系としての規模を生かし た「機動性と柔軟性で取り組みたい」との考えを明らかした。

--取材協力:山崎朝子. Editors: 淡路毅, 浅井秀樹

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