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ソフトバンク:米携帯3位への出資を協議-最大75%取得か

国内携帯電話3位ソフトバンクは、 米同業3位スプリント・ネクステルの経営権取得に向けた出資について 協議している。両社が12日に発表した。関係者の1人によると、ソフト バンクはスプリントの発行済み株式の最大75%を取得する公算。

スプリントは日本時間の12日未明に協議をしていると発表、ソフト バンクも午前に「協議は事実」とのコメントを発表した。別の関係者 は、株式の取得目標が3分の2超だとしている。ソフトバンクはさらに 米無線事業者クリアワイヤの買収も検討中と米CNBCは報じている。

ソフトバンクがスプリントを買収すれば、日米にまたがる巨大通信 企業が誕生する。同社は06年の携帯参入で抱えた巨額債務の返済を最優 先してきたが、孫正義社長は4月、収益拡大に伴う負債圧縮と信用力改 善を背景に、事業拡大・株主還元・財務改善の3つのバランスを取ると 表明。1日にはイー・アクセスを買収すると発表したばかりだった。

ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は11日 夜、人口が減少している日本では今後の成長は難しく、円高局面での海 外企業買収には利点があると指摘。買収の総額や購入資金の調達手法も 注目点だとした上で、ソフトバンクが自社株価の堅調を背景に、公募増 資を行う可能性があると述べていた。

ドコモとの違い

日本企業の対米投資としては、国内首位NTTドコモが米携帯大手 AT&Tワイヤレス(当時)の株式16%を01年に98億ドル(当時約1 兆1900億円)で取得したものの、IT(情報技術)バブル崩壊で撤退 し、計1兆5000億円を損失処理した例がある。ソフトバンクは06年に英 ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)を総額約1兆8000億 円で買収し、携帯事業に参入した。

SMBC日興証券の森行真司アナリストは、今回の買収案件はドコ モの例とは違い過半数の株式取得が目的だと指摘。当時のドコモの海外 出資が携帯ネット接続「iモード」の国外浸透だったのに対し、スプリ ントとは高速通信である「LTEの普及促進という共通目的もある」と 語った。さらにソフトバンクが携帯参入時の巨額買収の資金を調達した 際は普通株発行を伴う増資を行わなかったとして、公募増資の実現可能 性は低いと指摘した。

日本経済新聞の12日付朝刊は、買収総額がプレミアム付きで1 兆5000億円を超えるとみられると報道。スプリントを通じて米5位のメ トロPCSコミュニケーションズの買収も検討しているため、実現した 場合の総額は2兆円を超える見通しと伝えた。11日終値を基準としたメ トロ社の時価総額は42億ドル(約330億円)。

戦略の回帰

スプリント株価は11日の米国市場で報道を受けて急上昇した。終値 ベースの時価総額は約173億ドル(約1兆3500億円)で、その75%は1 兆円強に当たる。クリアワイヤの時価総額は32.5億ドル(約2500億 円)。一方、12日のソフトバンクの株価は、前日比17%安まで売られて いる。

電気通信事業者協会の8月の統計によると、ソフトバンクの携帯契 約は傘下のPHS会社ウィルコムを合わせ3491万件。来年2月に完全子 会社化予定のイー・アクセスを加え3911万件となる。スプリントの契 約5600万件強との単純合計は、9500万件を超える。

ソフトバンクは1996年のヤフー日本法人設立や04年の日本テレコム (現ソフトバンクテレコム)買収による固定通信参入などで、企業規模 を拡大。しかし、06年の携帯事業参入で巨額債務を抱えた後は、返済を 最優先する財務戦略を続けた。

しかし08年になると米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話) 「iPhone(アイフォーン)」代行販売を開始して顧客基盤を拡 大。10年3月期には営業利益で国内同業2位のKDDIを初めて抜い た。

財務への懸念も

岩井コスモ証券投資調査部の清水三津雄副部長は、孫社長が「リス クを取りながらソフトバンクを大きくしてきた。大胆な決断も行ってき た」と述べ、今回の買収提案もその戦略の延長との見方を示している。

アーキテクトグランドデザインの豊崎禎久アナリストは協議の背景 に国内市場の成長余地が限られている点を挙げた。さらに「資本規制が ある新興国への参入は容易ではないが、経済環境が悪化している米国で 売却案件があった」と指摘。買収が実現した場合のソフトバンクの財務 への影響については「決して余力があるわけではないので、リスクが低 いとはいえない」と述べた。

--取材協力 小笹俊一, 藤村奈央子 Editors: 上野英治郎, 淡路毅、 蒲原桂子、杉本等

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