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2万人が一挙来日、官民挙げ復興アピール-IMF世銀総会きょう開幕

世界188カ国が加盟する国際通貨基 金(IMF)・世界銀行年次総会が9日、都内で開幕した。政府や民間 金融関係者など約2万人が参加する世界最大規模の国際会議。14日まで の期間中、大小約200の会議やイベントが開かれる。日本での開催は、 戦後復興の象徴だった東京オリンピックが開催された1964年以来、48年 ぶり2回目。関係者は東日本大震災からの復興が進む日本をPRする絶 好のチャンスと意気込んでいる。

「今回の総会をきっかけに地区として何かやっていこうという機運 が高まっている」-。日本最大の商業地区・銀座に設立されたIMF世 銀総会対応委員会の亀岡成幸委員長はこう話す。会場周辺の商業地域で は総会開催中、外国人観光客の誘致につなげようと関係団体が一丸とな って準備体制を整えている。

銀座は「GINZA INTERNATIONAL WEEK(銀座国際週間)」と題した初 のイベントを実施。日本舞踊も鑑賞できる料亭体験や画廊巡りなど銀座 ならではの「メニュー」を取りそろえた。「これまで当たり前のように 外国人客が来てくださるという甘えがあった」と亀岡氏。「東京は韓国 のソウルに比べて世界的な観光の認知度が低く遅れをとっている」と述 べ、これを機に積極的に海外へ銀座の魅力を発信する方針だ。

江戸時代からの老舗が軒を連ねる日本橋も「おもてなし」をテーマ に屋形船クルーズや人力車の乗車体験、着物のファッションショーなど 日本情緒溢れる催しを街ぐるみで展開する。丸の内では観光庁などが主 催し、地方観光の魅力を伝えるイベントを実施。13日には北海道のよさ こい祭りや伝統芸能のパレードがビジネス街で楽しめる。

ホテルは活況

総会の主会場となるのは東京国際フォーラムと帝国ホテル、ホテル オークラの3カ所。帝国ホテルでは開催中の10日から13日の間、全931 室が総会参加者の宿泊で貸切となり、一般予約は受け付けていない。南 方章孝広報課長は「10月はビジネス客も多く、稼働率は80%以上と高い シーズンだが、開催中はほぼ満室の状態」と言う。

35の会議が予定されているホテルオークラ(800室)もほぼ満室 で、うち6割強に当たる500室に参加者が宿泊予定。3会場に近いニュ ーオータニは総会の事務局が指定する都内20カ所の「オフィシャルホテ ル」の1つで、会期中は予約の3割強が総会関連の参加者。期間中、1 日2回、ロビーで琴の生演奏を行う催しを予定している。

日本政府観光局によると、8月の訪日外国旅行者数は前年同月 比42%増の77万6000人と大幅に増加したが、円高や放射能汚染への懸念 から、震災前の10年の同時期に比べると3.3%減と市場全体の回復は足 踏み状態だ。中国との領土問題の深刻化に伴い、一時は震災前の水準に 戻った同国観光客の激減が指摘される中、今回の総会は明るい材料だ。

クール・ジャパン

日本が得意とする産業を紹介するイベントも盛りだくさんだ。財務 省の総会事務局はエネルギーや水、鉄道、自動車関連などの工場・施設 の見学コース17本を設定した。狙いは新興国へのインフラ輸出。43カ国 が参加するという。印刷局と造幣局はIMFで使用されている世界共通 の通貨単位・SDR(特別引出権)建ての紙幣や通貨の製品見本を作製 して関係者に配布し、技術の高さをアピールする。

クール・ジャパン」と総称される、日本のファッションや地域産 品などのクリエイティブ産業の情報発信にもぬかりない。総会事務局は 文房具メーカーの協力を得て針なしステープラーやテープ状のりなど最 先端の文具を各国のオフィスに提供し機能性を「体感」してもらう。

経済産業省は服飾や工芸品などを取り扱う中小企業の展示商談会 を12、13の両日、六本木と渋谷で開く。開催日程を11月から1カ月前倒 しし、総会の日程に合わせた。参加企業28社のうちほぼ半数が大震災で 被災した福島、岩手県など東北の企業だ。

同省クリエイティブ産業課の谷査恵子係長は「良いものづくりにこ だわりと専門性を持つメーカーは中小企業に多い。これらの企業にでき る限りチャンスを提供したい」と強調。海外から多数の来日が見込まれ るこの時期に「クール・ジャパン」の主役を盛り立てる。

震災復興アピールへ立候補

IMF・世銀総会は、各国の財務相や中央銀行総裁など当局責任者 が集まる「最高意思決定機関」。1946年の第1回総会以来、毎年秋に開 催されている。主な議題は年次報告や財務諸表の監査報告などで、民間 企業で言えば「株主総会」だ。今回はこれに併せて主要7カ国(G7) 財務相・中央銀行総裁会議などの閣僚級会合も開かれる。

開催地は米国・ワシントンのほか、3年ごとに他の加盟国都市でも 開く。これまで21カ国で開かれており、2回開催されたのは東京以外で は、トルコのイスタンブールのみ。今年は当初エジプトが主催国だった が、民主化運動で国内が混乱したため、開催の延期を表明。昨年5月に 当時財務相だっが野田佳彦首相が「東日本大震災から復興する日本の姿 を世界に見てもらう絶好の機会」として代替候補に手を挙げた。

初日の9、10の両日には大震災の被災地・宮城県仙台市で防災と開 発をテーマとした会合が開かれ、ラガルドIMF専務理事らによる被災 地視察も予定されている。今回の総会で国際会議デビューとなる城島光 力財務相は5日、「復興に取り組んでいる日本の姿を正しく理解してい ただき、『これからの日本』を積極にPRしていきたい」と語った。

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